掃除の効力 その2

P/Lは経営者の才覚でスゴイ数字がどんどん上がることがあります。
しかしビックリするほどの業績を上げ、急成長していた会社が倒産することもよくある話。
キャッシュフローを疎(うと)んじていたと言えばそれまでなのですが、どうもそれだけではないような気もします。
ひょっとしたら「P/Lは『自分の力』だけど、B/Sは『与えられるもの』」ではないかと思うのです。

「与えられるもの」は「運」と言い換えてもいいかもしれません。
その運を良くするための手段として、掃除は極めて有効なのではないでしょうか。
ただあまりに遠回りすぎて、掃除と財務改善との因果関係がよく分からないだけだと思うのです。
ついでに言えば、掃除はP/Lにはあまり効果がないけれど、B/Sには(時間をかけて)大きな作用を及ぼすのです。

当社にも神棚が祭ってあるのですが、日本の神様はキレイ好き。
従って神様のためにも「場」を清めていきたいと思うのです。
「掃除は修行」はあくまでも自分のためだけだし、「B/Sのための掃除」も会社のためだけです。
でも「神様のための掃除」となれば、次元がちょっと違ってきます。
鍵山流掃除20周年を記念して、今後は「神様のための掃除」に徹してみようかとも思うのです。

掃除をやっていて「泣きたくなる」時もあると前回書いたのですが、この「泣きたくなる」が実は自分にとって大きなプラス。
金田正一投手は、走り込むことがどれだけ大切かを熟知していました。
徹底的に走り、最後にはあまりの苦しさで「泣きながら」走るのだそうです。
大の男が泣くところまで鍛錬しないと、あのような大選手にはなれないのかもしれません。

「泣きたくなる」ほどの掃除を積極的にやっていくぐらいでないと、自分はあまりにも恵まれ過ぎていると思うのです。
苦しさをたっぷり味わって、ちょうどそれでバランスが取れるわけです。
どこかで自ら苦しさを選択していかないと、人間がアホになるし、バブル崩壊ではないですが、膨らみ過ぎた「順風満帆」はどこかで破裂する仕組みになっています。
先手を打って、ガス抜きをするというのが、ポジティブに行う「苦しさの選択」でもあるわけです。