会社の引っ越し その4

1階店舗から2階オフィスへの移動は、私が今までしてきた決断の中でも、3本の指に入るぐらい重大なものではなかったかと思います。
「1階にそのままいようか」と「2階へ移ろうか」の間を、考えがグルグル揺れ回りました。
毎日、出す結論が違うのです。
「1階存続派」と「2階移転派」が私の頭の中で、激しく綱引きしているといった感覚でした。
次第に「2階移転派」が大勢を占め出し、ある日一挙に移転への決断へと向かいました。

面白いことにいったん決断してしまうと、次々とアイデアが出てくるのです。
そのアイデアも一つ一つゆっくりと積み上げて行く感じで、けっして一気呵成に出てくるというものではありませんでした。
考えに考えていると、次第に頭の中で形がハッキリしてくるのです。
今回の決断は“けっこう”真剣に考えた方ですが、今回に限らず課題に本気で取り組んだ時は、こういった答えの出方になるのだと思います。
そういう意味では、とてもいい経験をしました。

結論が出るまでに随分迷ったのは事実ですが、実は考えている間ずっと楽しかったのです。
真に正しい結論は、腹にズシンと収まる感覚がするのです。
これは骨董品の識別でも同じで、本物はズシンと腹の中に入るけれど、偽物は何となく腹に収まらない感じがするとのこと(中島誠之助さんの本を読んで知りました)。
むろん今回の2階への移動は「腹にズシン」であります。