奈良の博物館とお寺

奈良国立博物館での「大遣唐使展」に行ってきました。
平日なのに賑(にぎ)わっており、奈良国立博物館へは何度も行っているのですが、今までで一番人が多かったように思います。
また修学旅行や遠足の季節でもあるようで、子供たちや中学生たちの姿もたくさん見ました。
逆に言えば「年寄りと子供達ばかり」という感が無きにしもあらず。
むろん鹿もたくさんおりました。

唐は618年に成立し907年までの300年近い歴史を持ちます。
唐の時代は治安もよく、カギを掛けなくても何も取られなかったといいます。
中国の歴史の中では最高の時代だったのではないでしょうか。
日本からも、その優れた文化や制度を習得するために遣唐使が派遣されました。

遣唐使は計20回ぐらい派遣されたようです。
山上憶良(やまのうえのおくら)や阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)や吉備真備(きびのまきび)や最澄空海遣唐使の一員です。
選ばれたエリートが命をかけて行ったわけで、その質的深さは計りしれません。
日本史上、国家事業として海外に派遣した大々的な使節団は「遣唐使」と明治初期の「岩倉使節団」の2回ではないかと思います。

遣唐使は制度、学問、文化、思想、仏教、芸術などを日本に持ち帰るという大きな役割を果たしました。
唐の首都は長安でしたが、地図で見ても相当内陸部にあります。
こんなところに当時の世界最高の文化都市があったのは不思議でもあります。
地図で見ると、いかにも「ド田舎」といった場所にあるのです。

奈良に来たからには、当然東大寺にも行ってきました。
聖武(しょうむ)天皇が国家安泰を願って造られた盧舎那大仏(るしゃなだいぶつ)。
奈良の大仏さんは大きいだけでなく、いつ行ってもいいお顔をなさっています。
この東大寺の宗派は「華厳宗」。
今の日本の仏教の宗派は最澄の「天台宗」や空海の「真言宗」、あるいは鎌倉仏教の法然の「浄土宗」や親鸞の「浄土真宗」、また日蓮の「日蓮宗」や、禅宗である道元の「曹洞宗」や栄西の「臨済宗」などが中心になっています。
従って「華厳宗」というのは、あまり聞いたことがない宗派かもしれません。

興福寺にも寄って帰りました。
興福寺は「法相宗」。
これもまたあまり聞いたことがないはずです。
興福寺の国宝館も覗いてきました。
憂いを秘めた少年の顔の阿修羅(あしゅら)像は、昔から有名な像なのですが、東京で展示されて以降は特に人気が高まったようです。
興福寺の国宝館にはたくさんの仏像が納められていますが、さすがにスーパーファミリーの藤原家が集めたものだけに、その充実した内容は圧倒的です。
これからは奈良に立ち寄るたびに、ここにも足を運びたいと思いました。
興福寺は藤原家ゆかりのお寺で、春日大社は同じく藤原氏ゆかりの神社なのです。
古代日本での藤原氏の勢力の強さが推し量られます。