『儲かる農業』

deguchi2009-10-18

ひじょうに心に響いた農業関係の本が2冊あります。
『儲かる農業』(嶋崎秀樹・竹書房・1,238円)と『ニンジンの奇跡』(赤峰勝人・講談社新書・838円)がそれです。
今日は『儲かる農業』のご紹介。

『儲かる農業』は菓子メーカーの営業マンから農業に転身し、農業を儲かる事業に変えた人のお話。
農業生産法人」を設立し、農業をビジネス経営として捉えたのが成功の出発点のようです。
まず生産・販売を安定化させるために、市場出荷ではなく、契約栽培をメインにしました。
また農地はすべてレンタル。
生産部門のほかに営業部門を持ったのも特徴。
これからの農業経営の方向を示しているように思います。

また著者の農業生産法人の上記以外の特徴として「生産は“ど素人”で」と「社員の独立の支援」があります。
農業が儲からないのは、従来の方法に対し疑問を持たず、また既存のモデルから脱却しようとしないからだと著者は述べます。
他の産業でも行き詰っているのは、全く同じ理由からだと思います。

農業をビジネスとして捉えているので、戦略的な営業部門を重視する。
トップが「生産」という穴熊に閉じこもってはいけないわけです。
これは市倉定先生の教えと全く同じだと、私自身の反省も含めて、ひじょうに勉強になりました。

生産は“ど素人”の集団ですが、その方がモチベーションが高いというのも、何となく納得できそうです。
朝4時には事務所に続々と若者が集まってくるそうで「派遣切れだから百姓でもするか」といった感覚では、とてもじゃないけれど勤まらないとのこと。
また契約栽培なので、約束の期日に約束の数量を出荷するため、そんな日は特に長時間の重労働になるようです。

しかし夢があるわけです。
農業にも「夢」があり、また「儲け」もあることを知りました。
「夢」と「儲け」がある産業には、若者が集まり、伸びていくのだと思いました。