デフレに対応した経営

私は今56歳ですが、35歳まではずっとインフレ、それ以降はずっとデフレでした。
インフレからデフレへのターニングポイントは、今から思えば1989年のベルリンの壁の崩壊でした。
その時はその現象の意味が分からなかったのですが、あとになってみると「ああ、そうだったのか」となるわけです。
ある現象や事件が起こっている時点で、それが何の兆候なのかを理解する知恵を持ちたいものです。
そのために勉強や読書を一生懸命したいと思うのです。

インフレとデフレとでは経営的な対策が全く違ってきます。
普通に考えれば正反対の現象が起こっているのだから、対策も正反対のはずです。
なのに同じような考え方や動きをしているから、ピントがズレてくるのでしょう

インフレの方が経営的には楽だと思います。
少々失敗してもモノの値段(不動産業で言えば土地の値段)が勝手に上がってくれるものだから、リカバリーが効きやすいわけです。
デフレの時代は「買い手に天国、売り手に地獄」だし、お金の値打ちが上がる時代でもあります。
逆に言えば、モノで持っているとその価値がどんどん下がっていくわけです。
だから早く売らなければいけない。
もしくはモノを持っていてはいけない。
特に貸借対照表の「総資産」に計上される項目は極力減らすべきなのです。
土地や建物や償却資産や機械や在庫商品など、一度見直す必要があるのではないでしょうか。

先日、当社の「償却資産」の項目を見ていたら、10年以上も前に購入し、とっくの昔に破棄したパソコンや、とうの昔に処分した広告用の大看板などが、B/Sに堂々と残っていたのには驚きました。
現物はどしどし処分しているのに、帳簿の方の処分がされていなかったわけです。
昨年、社内の備品や書類を大処分して大変スッキリした経験があるのですが、バランスシートもこの際徹底的にスッキリさせてみようと思っています。

デフレの時代は売上げがなかなか上がりません。
上がらないときに無理してあげようとすると、かえって人件費や広告費が増え、利益が減少してしまいます。
「根性で売れ」などと言うのは、少し時代の空気が読めていないのだと思います。
経営的KY(空気が読めない)なのです。
今の時代は「知恵で売れ」。
あるいは「作戦で売れ」や「商品力で売れ」。
コストダウンなどは今の時代、とても有効です。
減収であっても増益。
かつては「利益よりもシェア」を目指していた時期もあったのですが、今はゼッタイ「売上よりも利益」なのです。