宝塚市長選の総括

宝塚市長選は6名もの候補が乱立したのですが、唯一の女性候補が激戦を制しました。
応援する運動員のほとんどが女性だったし、街を自転車で走っていても「宝塚に女性市長を」のポスターをよく見かけました。
獲得票は約2万6千票。

今までの市長選では当選者は約3万票、対立候補は約1万5千票というパターンでした。
今までの市長選の最高得票は5万票。
この数字が宝塚市における保守票のトータルだと思います。
今回の当選票数の2万6千票というのは、それ自体はすごい数字ですが、有権者数は18万人。
つまり獲得票はその15%ほど。
言い換えれば、有権者の5人に1人が投票してくれれば必ず当選するという計算になります。

投票してくれなさそうな4人の人に力を入れなくても、必ず入れてくれる1人の人の確保に全力を挙げる方が、よほど効率的であるわけです。
顧客層のコンセプトを決め、そこに企業の経営資源を集中させるという会社戦略と全く同じではないかと感じました。

当選した女性候補社民党共産党が支援していたのですが、全く政党色は出さず「宝塚に女性市長を」のスローガン一本で選挙戦に臨んだことが戦略上の勝因だと思われます。
反対に本命候補とも言われていた民主党の候補者には鳩山由紀夫さんという大物が応援に駆けつけ、その時点で「市民派」のイメージが崩れ、民主党色がハッキリと出てしまいました。
そうなると自民党も候補者を出さざるを得なくなり、保守乱立に拍車がかかる結果となりました。
従って中央から幹部を呼んできたこと自体が逆効果で、まさにそこが敗因ではなかったかと感じるのです。
また40歳代の男性が3名も立候補し、いわゆる「キャラがかぶった」のも票が分かれた原因だと思います。

宝塚市は人口22万人。
有権者数18万人。
投票率は44%。
半分以上が投票に行っていないわけです。
今回の選挙で初めて知ったのですが、宝塚市民の市外への就業率は65%もあるのだそうです。
地元で働く人はわずかに35%。
「わが街宝塚」の意識を持つ人は少数派なのかもしれません。