尊敬する会社

福岡のM不動産は、不動産の賃貸管理業をやっているところなら、知らなきゃモグリだと言われるような会社です。
賃貸管理業の草分けとも言うべき会社。
その会社の社史『超・不動産宣言』(非売品)を読みました。
親・子・孫と三代にわたって傑物が続くと、これぐらい立派な会社が育つようです。
ちなみに三菱は岩崎弥太郎以来、四代にわたって並々ならぬ人物が出ました。

先代の社長で三好勉という方がおられました。
惜しいことにもう亡くなったのですが、実力・人格ともに非常に優れた人でした。
私も不動産業界で数多くの人と出会ってきましたが、これほど高度にバランスの取れた人は見たことがありません。
いろんな不動産団体の会長も引き受けてこられたのですが、自社のノウハウを惜しげもなく業界発展のために伝授なさっておられました。

不動産の賃貸管理業は、そもそも遠洋漁業の船員が建てたアパートの管理から始まったようです。
それまではアパートの大家さんが自分で管理するというパターンが主流で、所有と運営とが一緒でした。
所有と運営(経営)が別になり、賃貸管理にも新しい技法やノウハウがどんどん開発されていったというわけです。

三好勉さんは不動産業界では大御所だったにもかかわらず、偉ぶらず、また大変な勉強家でもありました。
セミナーを聞く時でも、一番前の席で熱心に聴講する姿勢に、若手の不動産経営者たちはみんな大きな影響を受けたものです。
当然私もその一人で、私もセミナーはいつも一番前の席です。
三好勉さんは朝も早く、セッカチでもあったので、朝の4時半ごろに部下に電話して指示していたなどということも社史に載っていました。
そういえば松下幸之助も時を構わず側近の社員に電話していたようです。

クロネコヤマトがなければ日本の宅急便はなかったがごとく、M不動産がなければ日本に賃貸管理業も存在しなかったと思います。
今なお規模・質とも業界の最先端を行っているわけで、尊敬に値する会社に違いありません。