過去形が持つ「距離感」

英語の「過去形」が持つ本当の意味は「自分との距離感」。
過去からのことが現在(今の自分)につながっていると現在完了形が使われるのですが、今の自分が過去と断絶しているという意識の場合「過去形」が使われます。
過去の出来事だけれど今の自分と一体感がある感覚の時は、現在形が使われることも“しばしば”あり、その方がかえって生き生きとした表現になるようです。

“Would you〜”や”Could you〜”のように過去形を使えば「ていねい表現」になります。
これは相手と自分との間に距離感を保つことによって、相手に対する礼儀を示すからでもあります。
単に英語だけでなく、ドイツ語でも”Konnten Sie〜”や”Ich hoette〜”と過去形を使う方が”Koennen Sie〜”や”Ich habe〜”の現在形より丁寧になります。

語学だけの話ではなく、考えてみれば「礼儀」とは相手と距離感を取ることではないでしょうか。
師や目上の方に対しては、しっかりと距離を置くのが礼儀。
友人との間も、家族との間も、適当な距離感を保つと非常にうまくいくようです。
この距離感こそが礼儀の根底。
それが分かると人生の達人となるわけです。