会社の本質

「バリュー株」という言葉を最近知りました。
ウォーレン・バッフェットという投資家の名前も同じく最近。
以前に澤上篤人さんの本を読み、その考え方にいたく感銘を受けたことがあるのですが、これはバッフェットと同じ投資哲学だったのですね。
この考え方は「デイ・トレーダー」と対極をなすもの。
いわば「ディケイド(decade)・トレーダー」。
投資を1日(ごく短期)の単位で考えるのではなく、10年ぐらいのスパンで考えるやり方なのです。

しかも自分が理解できない事業の株には一切手を出さない。
複雑なものにも手を出さない。
必然的にシンプルなものにのみ投資するということになります。
バッフェットはアメリカで2番目の資産家なのですが(一番はビル・ゲイツ)、自分が理解できないIT株には全く投資してきませんでした。
精神性の高い経営者によるシンプルな事業が、バッフェットのお好みとも言えます。
自分が応援したくなる企業の株を5社程度、せいぜい10社までが投資の範囲なのです。
それでアメリカで2番目の大金持ちになっているわけですから、そう間違いのない考え方なのでしょう(私は内心「これしかない!」と思っております)。

自分が好きな株を5社程度選んで、それらの株が安くなっては買い集めておく。
一度買ったら10年間は持ち続ける(買ったことも忘れる)。
それなら私にも出来そうです。
小難しい投資理論もいりません。
株のことを勉強する時間があるのなら、自分の本業に時間を費やすべきです。
そして大切なことは、他人の意見ではなく、自分の頭で考えること。
たぶん自分の直感が一番正しいということもあるのですが、自分が考えたことで失敗しても納得がいきますが、人の意見を聞いて失敗したら腹が立つではないですか。

汗水たらして働く「勤労所得」は人間にとって絶対に必要なものですが、汗水たらさない「不労所得」もとても大切なのです。
そしてその「不労所得」はバッフェット流で。
これなら全然無理がなく、本業にも負担がかからず、実にシンプルでナチュラルです。

じゃあ本業の方はどうかといえば、これは「累積経営であるべし」なのです。
累積経営は時間も味方してくれます。
事業自体がまさに複利計算のようになるのです。
毎年ゼロからのスタートでは、精神的にも体力的にも組織的にも持ちません。
強力な営業力を持った不動産仲介会社が破綻するのをいくつも見てきました。
街の不動産店はすべからず「累積経営を目指すべき」なのです。

松下幸之助は「ダム経営」を提唱しました。
累積経営自体が実はダム経営でもあるのです。
優秀な新卒を大量に採用できる上場企業ならともかく、街の不動産店がいつまでも社員に頼る経営をしていてはだめなのです。
社員に頼ろうとするから、ノルマや歩合という話になるのです。
社員が幸せでなければ、お客様も幸せに出来ません。
だから会社の本質は「幸せな社員が力を合わせて世の中に役に立つ仕事をしていく」。
これを忘れて金儲けばかりに走ろうとするから、世の中までおかしくしてしまうのです。

バフェットの1日を知り、意を強くしました。
6時間が読書。
1〜2時間が電話。
あとは「考える」のだそうです。
これなら私にも出来そうです。
私の場合は会社のトイレをピカピカに磨く2時間がこれに付け加わるだけです。