30年後の実現

「フォーシーズンズ・サンフランシスコ」のレストランで晩餐を楽しみました。
と書けば、どうってことないのですが、ここに至るまでが大変なのです。
まずはスーツかブレザーを持って行かなければなりません。
私の場合、カジュアルなセーターやズボンにスニーカーが、海外旅行での基本的な服装。
だから上着やネクタイや革靴を、ひと揃え別に持っていくのが、まことに面倒なことでもあるのです。

海外の一流レストランに入るのは、けっこう度胸がいります。
ともすれば、格式のある雰囲気に飲み込まれそうになります。
まわりが白人ばかりだと、やっぱり緊張するわけです。
ワインリストやメニューを見ながら、ウェイターに注文するのも、なかなか骨の折れる作業でもあります。

こういった状況に自分を置くのも一種の勉強。
簡単に言えば「いかに自分を場慣れさせるか」ということでもあります。
以前にミラノの一流レストランに一人で入って、とても勉強になったことがあります。
一流レストランは、お店もお客もみんなが一緒になって、場を盛り立てていく舞台でもあるのですね。
男性はダークスーツ、女性は着飾った服装で、洗練された会話と料理を楽しむ。

だからそんなところにセーター姿などで現れたら、ルール違反なのです。
私以外にも、一人で来ている男性客がいましたが、きちんしたとネクタイ姿で、店の雰囲気に見事に溶け込んでいました。
ウェイターが“一人客”の私に対し、絶好のタイミングで話しかけてくれ、けっして孤独に放っておかないのが一流レストランなのだと、妙に感心しました。

“わけの分からん”メニューを見て、料理を決めていかねばなりません。
ワインの選択から始まり、最後のデザートを決めるまで、そこそこの時間がかかります。
ウェイターとの会話のやり取りで(英語です)、同伴者も巻き込んで、場を盛り立てていくわけです。
今回もそんな感じでうまく料理の注文ができ、ちょっと満足。
4人で行ったのですが、ほかのメンバー(実は社員)は私に対し“やや”尊敬の眼差し。

ふと「このシーンはどこかで見たことがあるなぁ」。
一生懸命記憶を辿(たど)っていくと、思わず「あっ!」と声を上げそうになりました。
30年以上も前に自分がイメージしたシーンだったからです。
英語が上手になった自分が何をしているかのイメージを、潜在意識にインプットしていたのです。
「夢を実現させるには、出来るだけ『ありありとしたイメージ』を頭の中に描くこと」という教えを学んでいたからです。
「英語が上手くなって、海外の一流レストランで堂々と注文している私」というのが、その時のイメージ。
それが30年以上もたって実現するとは…。

いつもブログで山師の大風呂敷みたいなことを書いているわけですが、夢実現のためには、ものすごく有効なことであることを再確認しました。
ならばこれからは、胸張って大風呂敷を広げていこうと決意したのであります。