東京国と日本国の不動産市況

この夏以降、「東京国」の不動産市況は大きく変化したようです。
絶好調から黄信号が灯(とも)り出した状態へ。
特にファンドの勢いがなくなってきたとのこと。
欧米ではサブプライムローン破綻の影響が大きく、金融の信用縮小が起きています。
東京国の不動産市況は今年初めと比べると、明らかに悪くなっているようです。

高齢化や団塊世代の退職に伴い、資産の組換えや資産処分の需要が増えてきました。
人生設計と不動産がからんでいるわけです。
売れ行き悪化の原因は、販売価格の上昇です。
値付けの大切さが、改めて問われています。

マンションの完成在庫も増え、兵庫県では完成後まだ残っているのが45パーセントもあります。
8月の住宅着工は43パーセントも減っています。
これは建築確認の厳格化が原因です。
建築確認の長期化と建築コストの上昇が、建築会社の資金繰りを苦しくしています。


割安感のある中古住宅は売行き堅調で、駅近の中古マンションも人気があります。
媒介取得は大手不動産会社に集まり出し、街の不動産店は苦戦しています。
大手企業が「選択と集中」を加速させ、本業に寄与しない不動産の売却を図っています。
東芝は銀座のビルを東急不動産に売却しました。
松下電器も物流17施設を850億円で売却しています。
企業にとって戦略なき不動産所有はリスクになる時代になってきたのです。

賃貸市場においては、慢性的な供給過剰が続いています。
新築当初は満室となるのですが、後が続かない。
空室が増える一方という物件も少なくありません。
オフィスも一流ビル意外は空室が多い状態です。
ファンド物件やサブリース物件などの入居促進策がさらに過激になってきました。
敷金ゼロやフリーレントなど、入居者の争奪戦とも言える現象が起こっています。
低家賃の賃貸のニーズは堅調で、ゲストハウスなども増加傾向のようです。

分譲業の場合、不動産の景気後退の影響をモロに受けます。
まずは借入れを減らすことが先決。
また大規模案件を避け、地元で売り切れる規模での事業が大切。
用地仕入れでは、決して競争しない。
競争すると高値買いする恐れがあります。
供給量を追わなくても、利益を出せる少数精鋭の組織にすることも大切です。

仲介業は買取り転売の比率を下げ、エンド客の取引を増やす方向への転換が求められるようです。
また紹介はコストがかからず、効率的。
チラシ営業から紹介営業に変わるのが理想です。
地元の空地や空家の調査や、地元に看板を増やす地道な努力に基本回帰する時期のようです。