不動産投資の考え方

戦後から1990年までは日本経済はインフレ。不動産価格も上昇一方でした。
1990年から今日まではデフレ。
不動産価格も基本的には下落あるのみでありました。
ただし東京圏ではその間に一度ミニバブル(ファンドバブルとも言います)がありました。
アベノミクス的の影響で、今後は東京圏の物件や収益物件は値上がりの可能性があります。
しかしながら地方都市の不動産価格は、その中心周辺を除いては、下落の一方だと推測されます。

私は自分の意思で不動産業界に足を突っ込んだのではないのですが、大学を卒業してから40年近くを、この業界で過ごしています。
不動産投資(もしくは投機)の成功例や失敗例を、自分の体験も含めてたくさん見聞きしてきました。
インフレで地価が上がっている時代は、不動産投資は何をやっても成功するのです。
けれど、いったん経済の具合が悪くなると、途端に不動産が売れなくなってしまいます。
特に1990年のバブル崩壊後は、不動産市場は「死んで」いて、まったく機能しませんでした(つまり買い手がいない)。
その点、株は(価格はともかく)市場が立ち、株を売った4日後には現金が手に入ります。

最初恐る恐る手を出した不動投資が上手く行き、次は借入も含めて倍の資金で不動産を購入します。
それも上手く行き、今度はその倍の規模で購入。
そういうことを何度か繰り返すうちに、不動産市況に暗雲が立ち込め、思うように売却が叶わくなり、二進も三進もいかなくなるのです。
私はそれを「ホップ、ステップ、ジャポン!(水に落ちた音)」と呼んでいます。

不動産購入の場合は、手持ちの資金だけで対応するケースは少なく、たいてい借入が絡んでくるので、余計に具合が悪いのです。
腹八分目で投資している間は大丈夫でも、ともすればすぐに腹十二分目ぐらいになってしまうので危険なのです。
短期で売却益を得るといった“やり方”ではなく、長期で保有しながら、買った不動産をジックリ育てるといった考え方が、不動産投資では最もリスクが少なく、賢明な方法だと思うのです。