不動産雑感

28歳で会社を始めてから30年経ちました。
振り返ってみて、不動産業は2勝8敗の業界ではないかという気がしています。
30年の間に2回バブルがありました。
確かに5,6年は絶好調の時期があったのですが、あとはなかなか厳しい状況の連続であったような気がします。

特にバブルとその崩壊では「山高ければ谷深し」を身を持って経験しました。
私は昭和末期のバブルでは一端(いっぱし)のプレーヤーだったのですが、前回の「ファンドバブル」では傍観者でありました。
経済環境の大変化もありました。
1989年を境にインフレからデフレへと、世界の経済自体が転換しているのです。

いまだに「インフレ頭」の経営者や政治家がいるのですが、発想を早く変えなければいけません。
不動産は何でもかんでも資産だと勘違いしてはいけないのです。
貸地や古アパートや共有不動産は、資産でも何でもなく、かえって足を引っ張るだけの存在であることが多いのです。
不動産を所有するなら、自宅や本業の拠点(店舗や工場)や収益が上がるものだけに絞るのが正解なのです。

不動産は持っているだけで固定資産税やメインテナンス費用が発生します。
建物だけでなく、土地のまま持っていたって雑草が生えてきます。
何もしない不動産など、売却してキャッシュにするのが一番です。
売却損が出る時は「見切り千両」、売却益が出る時は譲渡税を払えばいいだけの話です。
元の購入価格に拘(こだわ)っていると、いつまでたっても次のステップが踏めません。
つまり将来が見えてこないのです。

「きれいなコインパーキングは街の味方」であり「きたないコインパーキングは街の敵」だと思い、自社が運営するコインパーキングは掃除を怠らないようにしています。
同じように質の高い不動産は街の財産であり、きたない不動産は街の価値を下げるのです。
不動産は単独で価値を発揮するというものではありません。
街と一体となって価値が上がっていくものなのです。