きのうの続き

きのうの補充と追加をしています。
またあしたも追加の文を書くつもりです。
【当社の歴史】
終戦の年昭和20年に、当時消防団の団長だった私の父が、進駐軍労務請負の仕事を始め、そこからだんだんと土建業を営むようになりました。
最後は宅地造成業として、いくつかの大型分譲地を手がけました。
昭和57年に建設業をやめ、不動産業に転業。
いわゆる街の不動産屋として地域密着型の不動産営業を続けています。
最初は売買仲介から始め、途中から賃貸仲介、賃貸管理、駐車場管理などを行い出しました。
建売や建築はほとんどしませんでしたが、分譲地の販売は約100区画ぐらい行ないました。

父の建設業の時代から言えば、創業63年。
私の代の不動産業から言っても、27年の歴史があります。
進化論の要諦は「強いものが生き残るのではない。変化するものが生き残る」です。
当社も建設業から不動産業という大きな変化がありましたが、同じ業種の中でも、事業の内容を変化させていっています。
変化させないと生き残っていけなかったことだけは確かです。

市場の変化に合わせて自社も変化させていかなければなりません。
経営が環境適応業といわれる所以です。
時代の要請や顧客の要望の変化をどう捉(とら)え、どう自社に取り入れるかが経営にとって大きなポイント。
社長はルーティング・ワークから外れ、その一点に絞って決断していくのが、本来の仕事なのかもしれません。

変化するのは外部環境だけではなく、社内も変化していきます。
売上げの不振や事業の失敗、あるいは社員の退社やトラブルなど、さまざまなことが会社では起こります。
また上手く行ったら行ったで、経営者自身の「飽き」・「驕り」・「油断」などが出てきて、会社の危機を引き寄せたりします。
レストランなどは観察していると、オープンしてわずか2年ほどで閉鎖していることが多いのですが、長く続いているレストランでも人気が出る時期があるかと思えば、具合が悪く評判が落ちている時期があったりしていませんか?
レストランの内部でも色々な問題が生じているからです。
会社でも勢いがある時ない時、売上げが上がる時下がる時、評判がいい時悪い時など、さまざまな動きがあります。
【街の不動産店は「累積経営」を】
街の不動産店を取り巻く環境を見てみましょう。
まずは売買仲介。
大手不動産会社のネットワークが大きな力を発揮しています。
たくさんの営業社員を抱え、新聞折込チラシや宅配チラシを次々に投入するやり方です。
このやり方は不動産流通が活発な時は効果的なのですが、いったん逆風が吹き始めると経費倒れになります。

売買仲介はもう既に大手と大手の戦いになっており、街の不動産店のシェアは激減しているはずです。
例外はそのエリアで大手に伍して、ナンバー3ぐらいまでに入っている地域店です。
全国展開での大手ではないけれど、その地域での“大手”と言えるわけです。
ランチェスターの法則的に言えば、どんな小さな不動産店でも、地域を絞ってナンバーワンのエリアを持てばいいわけです。
とまあ、優れた小規模店による例外はあるのですが、基本的には売買仲介市場は大手同士のシェア争い場に化していると言っても過言ではないでしょう。

売買仲介には経営的に大きな欠点があります。
それは売上げの予想が出来ないということです。
当社も毎年「経営計画書」を作成しますが、売買仲介の売上げだけは計画が立てられないのです。
立てたとしてもそこには何の根拠もないわけです。
今は賃貸管理をメインにやっている友人が、売買仲介を主体でやっていたときは正月が怖かったと言います。
「昨年までは何とか売買仲介でやっていくことが出来た。しかし今年も本当に契約が上がっていくのだろうか?」
そう思うと不安で仕方がなかったとのことでした。
私も同じ思いをした経験があるので、その話を聞いた時は「自分一人でなかったんだ」とちょっとホッとしました。

また別の友人は大手不動産会社で売買仲介をやっていたのですが、毎月ゼロから出発しなければいけないことが苦痛で、独立後は必ず「累積経営」を経営の主体にしようと決意したそうです。
今は社員数がわずか3名ですが(固定費が少なくてすむ)、自社で賃貸マンションを所有・運営し、コンテナ倉庫とコインパーキングで安定収入を上げ、たまに建売住宅を建築会社と組んでやっているそうです。
全然あくせくせず、傍から見ていても本当に余裕があります。

賃貸仲介もここ5,6年、賃貸専門店が急激に勢いを増してきました。
賃貸専門店によるテレビコマーシャルも多くなり、顧客の方も賃貸の部屋を探すのに、普通の街の不動産店を覗く人は少なくなっているのではないでしょうか。
従ってここでも街の不動産店は苦戦を強いられているというわけです。
唯一例外は賃貸物件をたくさん管理している不動産店。

仲介業と管理業とでは、実は水と油ほど中身が違うのです。
仲介業は狩猟型。
管理業は農耕型なのです。
だから賃貸仲介専門会社は、賃貸管理はむしろ苦手なはずです。
また賃貸管理業自体が、昔のやり方とは様変わりしています。
入居審査や退去立会いや集金管理などがアウトソーシングされ、より専門的になっています。
最先端の管理システムを構築しているところと、そうでもない地方の不動産店とでは、賃貸管理のレベルの差は歴然としています。

賃貸管理業自体は「累積経営」なのですが、管理物件数が増えるにつれ、人手が必要になってくるのです。
いわゆる労働集約型。
物件の管理だけでも精一杯なのに、人の管理までしなければいけないようでは動きが取れません。
また賃貸管理業はクレーム産業でもあります。
物件の不具合への対応、たまにですが常識が外れた人への対応、また滞納業務など、担当者がヘトヘトになることがあります。
当社でも賃貸管理業務をやめたなら、クレームやトラブルの9割がなくなるのではないかと思います。

管理手数料は安定収入でもあるのですが、精神的には不安定要因。
従って今後の賃貸管理業に必要なのは二つ。一つは保証業務や修繕業務のアウトソーシング
もう一つは物件や人を選ばなければいけないいうことです。
具合の悪い案件を5パーセントカットすれば、たぶんクレームやトラブルが8割カットされるのではないかと感じます。

リフォーム事業は市場のパイが広がってきており、事業としては魅力的なのですが、これも経営的には難しいものがあります。
職人を抱え込んでしまっては、固定費が上がりすぎ、これは論外。
しかしリフォームや修繕を本格的にやろうと思えば、専門の担当者が必要になります。
専門の担当者を配置し、工事は分離発注。
不動産会社の場合、大体こういった形になるのではないかと思います。

私の友人もこの方式でリフォーム事業を行なっていたのですが、すべて外部に発注する方式に変更しました。
その方がスッキリし、結局コストも安くなるとのことでした。
片手間ではダメだということです。
もし建築をメインでやると言うのであれば、むしろそれは建築業であって、不動産業の範疇からは外れると思います。

以上「売買仲介」・「賃貸仲介」・「賃貸管理」・「リフォーム」と見てきたわけですが、いずれも街の不動産店にとっては不利な状況に変化してきています。
ではどうすればいいのか?
街の不動産店が進めなければいけないのは、まずは「累積経営」。
毎月ゼロからの出発ではなく、蓄積された事業に今月分をプラスしていく方式。
年月が経つほど、まるで複利計算のように、蓄積が大きな力を発揮してきます。

また「脱・労働集約型」。
たくさんの人がいる事業は、街の不動産店向きではありません。
普通の人でも採用しにくいのに、ましてや優秀な新卒なんて夢物語です。
親の立場からしても、子供が名の通った上場企業に行ってくれるほうが、よっぽど安心です。
ちょっと変わった優秀な人材がいて、仮に入社したとしても長くは勤まらないと考える方が自然だと思います。
*あとは明日以降に書きます。
【当社のビジネスモデル】
【コインパーキングの目利き】
【繁盛コインパーキングは?】