生き残るために変身し続ける

経済誌に興味ある記事が載っていました。
「事業の転換には10年を要するが、人は1日でも変わることが可能」というものです。

ある酒店は、価格競争や顧客の取り合いに嫌気がさし、各地で埋もれている(有名でない)日本酒を発掘し、商品をそれらに絞ることを決断しました。
で、それを実現するのに要した時間が10年でした(そして大成功しました)。

また、ある製菓会社は量販店向けの販路を捨て、和菓子専門店向けに事業を転換しました。
それに要した時間も、やはり10年(そして”やっぱり”大成功しました)。

会社の場合は、思い立ってから実現するまで10年かかるのですね。
社員や取引先や資金など、さまざまな要因が絡(から)んでいるからです。
大型タンカーが急に舵を切ったとしても、すぐには目指す方向に曲がらないのと同じことなのでしょう。

当社の場合は14年かかりました。
この半年の間に思い切った事業転換を行ったのですが、その必要性を直感したのは、アムステルでの1人旅の最中でした。
「このままではいけない。どこかで変革しなければ!」と恐怖感に似たものを感じたのですが、それが運河を渡る船の中であったことを“まざまざ”と思い出します。

会社というのは、事業も形態も取扱商品もどんどん変えていかなければ生き残っていけないようです。
フィルムを作っていた会社が化粧品や薬品の会社になったり、繊維の会社が航空機のボディをこしらえたりしている実例(というより成功例)がありますが、そうしていなければ会社自体が”とっくの昔”になくなっていたかもしれません。

会社は変身するのに10年以上かかるわけですが、個人の変身は1日でもできるのです。
考え方を変えたら、すべてが変わるからです。
私は中学3年生の時に、故・矢内正一先生のお話をマンツーマンで2時間聴く機会があったのですが、そのわずか2時間で、自分が別人のように変わった体験をしています。

ひと言でいえば、怠惰な人間から勤勉な人間へと生まれ変わったのです。
それ以降50年間、多分ずっと「勤勉」な人間で来ているはずです。

これで安心していてはいけないわけで、これからも変身し続けて行こうと思っています。
何せまだ95歳まで、30年以上働くわけですから。