時間をかけてインカムゲイン

「投資の真骨頂はキャピタルゲインではなくインカムゲインにあり」というのは、長い間不動産業界に携わってきた私の投資哲学です。
キャピタルゲイン狙いだと、どこかで躓(つまづ)くと、それが命取りになりかねず、現に上場していた不動産投資会社やマンションデベロッパーが何社も倒産してきました。

不動産投機の場合、1度や2度は勝てても、そのまま勝ち続けることは極めて難しいと言わざるを得ません。
不動産ブームや不動産バブルというのは確かにあるのですが、ある日突然「潮目」が変わり、あっという間に経済環境が激変するのを何度も見てきました。
不動産の場合、だいたい15年の周期で波がやってくるようです。

「山高ければ、谷深し」で、大きな上げ潮のあとには強い引き潮がやってきます。
あとから考えれば、明らかに潮目の変化の兆しがあるのですが、欲に目がくらんで調子に乗っていると、必ず見落とすのです。
そんな時であっても、コツコツと積み重ねてきた投資は崩れにくいのです。
投資は時間を味方にする必要があると思うのです。

従って若い時から投資に馴染んでおくべきだとも思います。
若い頃から投資をするとなれば、やはりそれを教えてくれる人がいるのですが、まわりを見てもまずそんな人はいないはずです。
学校の先生や大学教授に聞いても、投資のことで満足な答えは返ってこないと思います。
私はたまたま不動産業に従事していたおかげで、不動産のメンターを知り得たのは、とてもラッキーだったと思います。

株でもそうなのですが、その時点が「売り時」なのか「買い時」なのかは、あとからでないと分かりません。
だから「今が買い時だ!」と焦る必要は全くないのです。
買える時にムリのない範囲で、自分の気に入った物件を購入するのが一番いいと思うのです。
収益物件を購入したら、ジックリ育てていくような感覚でいかがでしょうか。

私のように不動産のプロでも「掘出し物」に出会うのは10年に1度ぐらいのもの。
従って普通の物件を普通に買っていけばいいのだと思います。
そして時間をかけて所有物件を増やしていくべきだとも思います。

本業で頑張っている人でも(頑張る人でないと不動産は買えない)、いつまでも自分の体力や能力が続くと思うのは、一種の驕(おご)りです。
晩年は、自分が手塩にかけて育ててきた不動産に働いてもらえばいいのだと思うのです。