ブルーオーシャンを見抜く地頭(じあたま)

ブルーオーシャン」と「レッドオーシャン」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
競争のない“ゆったり”した市場をブルーオーシャンと呼び、ライバルが多く激しい競争市場をレッドオーシャンと呼んでいるようです。
呼び方はともかく、確かにライバルがいない市場とウジャウジャいる市場とでは、大変さが全然違ってきます。

不動産業を見ても、大手も進出してこないような、小さな市場(例えば地方都市の郊外)で商売している会社の中には、すごく好調でよく儲けているところが少なくありません。
ただし条件が一つあり、それは「その地域でナンバーワンであること」。
その経営者を観察していても、とりわけて優秀というわけでもないのに、会社は優良企業なのです。
これなど典型的なブルーオーシャン型成功事例と言えるのではないでしょうか。

会社経営で成功するには、才能と努力が成否を決めると思い込んでいたのですが、どうもそれ以上に大切なことがあるようです。
邱永漢さんが以前経営コンサルタントをしていた頃、いろいろな人の相談を受けているうちに、経営能力よりも「その人がどんな事業を行っているか」の方が、ずっと儲けに直結しているということを発見したそうです。
つまりその産業自体がブルーオーシャンだということなのです。

学校を出て、社会で働き始める時、どんな産業に従事するかなどは、ほとんど偶然のようなものではないでしょうか。
会社の寿命は30年と言われますが、一つの産業の寿命も“やっぱり”30年程度ではないかと思うのです。
ということは、学校での優等生がこぞって就職する産業は、その時がピークであって、その人の定年の頃にはスッカリ衰退産業になっている可能性が高いのです(実際そうでした)。

いま新聞社や放送局のようなマスコミに就職するのは超難関ですが、これとていつまでも「わが世の春」というわけにはいかないと思うのです。
だからと言って、どんな産業がこれから大きく成長するのかなど、ハッキリ言って誰にも分かりません。
つまり就職は、ほとんど「運」の世界。

起業だってそうです。
「たまたまどんな商売を始めたか」などは「運」そのものと言ってもいいかもしれません。
ただ「どんな商売を始めるか」は「その道がいかに運気に満ちているか」を感じ取る地頭(じあたま)の良さが問われるのかもしれません。
努力や才能は、どうもその次の要因のようなのです。