年千冊の読書力 その24

deguchi2011-12-09

「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻と親しむ」という石川啄木の歌がありますが、優秀な会社の経営者と話していると、自分の無力さにガックリくることがあります。
しかしながら、そんな優秀な経営者でも本はあまり読んでいないことが少なくありません。
ならば徹底的に本を読み進めていくのが、自分の「生き筋」ではないかと、最近思うようになりました。
ビジネスパーソンで年千冊の本を読んでいる人は、やはりそう多くないのです。

学生時代から本はよく読んできたのですが、それが自信につながっていることは間違いがありません。
社会人になると仕事や付き合いが忙しくなり、読書が疎(おろそ)かになってきます。
独立して自分の会社を経営し出したりすると、ますます「寝ても覚めても仕事のことばかり」状態になってしまいます。

私も30代後半の時にバブルが崩壊して会社の危機に陥り、将来への暗澹たる気持ちと「今まで家族を犠牲にしてまで懸命に働いてきたのは一体何だったのだろう?」の両方の思いで、ずい分と落ち込みました。
還暦を前にして、自分が本当にやりたかったことを心の内に問うてみると、やはり読書と勉強でありました。

いくら好きな道だからと言って、日が暮れてからトボトボと夜道を歩くようなことでは辛いので、日が落ちるのを延ばすことにしました。
つまり95歳までバリバリの現役で働くことにしたのです。
長谷川慶太郎さんや渡部昇一先生は80歳を超えておられるのですが、いまなお極めてシャープな論評を次々と出しておられます。
徳川家の知恵袋であった天海は108歳、『自在力』の塩谷信男さんは106歳まで生きました。
定年前の年であっても、俄然チャンスは残っているのです。

これからどれだけ「いい本」と出会えるかが、どれだけいい人生であったかと正比例すると言っても過言ではないと思うのです。
これから読む本のことを思うとワクワクしてくるのです。
読書は至福のひと時。
それが「ひと時」で終わらず、一生続くわけで、これを幸せと呼ばずして何と呼べばいいのかということなのです。