今と”これから”の不動産業

不動産業界はもともと需給のバランスが崩れていました。
需要に対して供給が過剰だったのです。
そこに来て世界不況がやってきたので、両方の影響が“ごっちゃ”になっていますが、本来は別の要因なのです。

不動産市場は今後ますます「人気のある所」とそうでない所の差が大きくなっていくに違いありません。
従って「都心」や「街の中心地」はこれからも需要がありますが、「地方都市」や「郊外」は極端に需要がなくなり、それが地価の下落や空室率の低下へと繋(つな)がっていくものと思われます。

地方の工場の閉鎖が目立ちますが、景気の悪化は地方に“いの一番”に現れます。
東京の本社は、海外での生産と地方での生産の、どちらが有利かを考えるわけで、海外の工場と地方の工場はモロに競合するわけです。
人口減だって地方に影響が出ます。
地方は今回のファンドバブルも関係なしに、地価はずっと下がり続けています。

今の時代のキーワードは「割安感」。
大手コンビニやユニクロ餃子の王将は、こんな時代に過去最高益を上げています。
不動産業も売上が上がらない中で、どう利益を確保していくかの知恵が問われます。
いわば「減収増益」です。
無理に売り上げを拡大しようとしないで、利益をキチンと確保することが求められます。
売上の上がらない時期は、経費を下げることも大切で、今まで以上に効率的な営業手法を考える必要があります。
不動産業の場合、紙媒体の広告をやめ、インターネットと現地看板に絞ってみるというのも、一つの手ではないかと思われます。

不況だからこそ、抜本的な事業の見直しや、営業方法の変換が出来るのだと思います。
今の在庫は「見切り千両」で処分する必要があるかもしれませんが、逆に新しく仕入れる場合は「安くて良い」物件が手に入る可能性大です。
儲かって忙しい時代は、ハッキリ言って経営や将来のことを考えている暇がありません。