今と”これから”の不動産業 その2

賃貸住宅は空室がなかなか埋まらないために、全般的に家賃の下落を招いています。
今まで上得意様だった学生も、出来る限り自宅通学の構えで、隣の県ぐらいまでは家から通うようです。
企業城下町においては、一挙に空室が増えた所もあります。
オフィス市場も供給過剰ぎみのところに、需要が激減し、厳しい様相を呈しています。
経費削減のため、移転や面積縮小を行うテナントも少なくありません。

店舗も不況のため空室が増えているのですが、賃料下落を逆手に出店を積極展開する店もあります。
吉野家は過去最高の200店舗の出店をするそうです。
しかしながら郊外や地方都市の店舗需要は、かなり小さいと言わざるを得ません。

不必要なものは買わない時代になってきたのですが、買ってメリットがあると思われるものは意外にヒットしたりします。
バブルの1989年には160万戸の新規着工があったのが、今は100万戸に減っているわけですが、「賃貸戸建て」や「2人所帯用住宅」や「ペット同居住宅」や「収納たっぷり住宅」などの供給があってもいいかもしれません。

手持ちの不動産の収益化は、この時期ひじょうに大切。
例えばバラバラに存在する収益物件を一つにまとめるのも、有効活用の一つの方法だと言えるでしょう。
逆に不必要な不動産は処分するに限ります。
収益の上がらない不動産は、固定資産税や相続税がかかってくるマイナスの資産でもあります。
株だと損切りさえ覚悟すれば4日間でキャッシュに代わりますが、不動産の場合は売れない時は本当に売れないのです。
現金化への目途が皆目つかないケースだってあります。
遊休不動産の有効活用や売却によって、本業を補う工夫をしていかなければ、今後の企業経営はかなり厳しくなりそうです。

在庫を処分し、借入れを減らし、損益分岐点を下げ、「冬眠」への準備をするのも一つの手です。
世界恐慌はないと見ているのですが、それにしても世界同時不況であることは間違いありません。
日本は「失われた10年」を経験し、今回の不況の予行演習はバッチリです。
この経験は他国にはない強みだと思うのです。