世界経済の動き

株価の乱高下が続いています。
前回バブル崩壊の時はその渦中にいたので大変でしたが、今回は余裕を持って経済の動きを観察することが出来ます。
たぶん株を持っている人は全員損をしていると思いますが、まずはうろたえないことです。

前回の「失われた10年」で、日本経済は塗炭の苦しみを味わったわけですが、これは大きな「天」の意図から言えば「アメリカの嫉妬を避けるためだった」とのこと。
アメリカは常に敵を持たなければ国体が持たない国なので、あのまま日本経済が膨張していけば、どこかで大きな衝突があったはずです。

英蘭戦争をご存じでしょうか。
17世紀後半に行われたイギリスとオランダとの戦争です。
「えっ、イギリスとオランダとが戦争をしたことがあったの?」と驚く方もおられるかもしれませんが、1652年、1665年、1672年と3回も行われたのです。
結論から言えば、これらの戦争でオランダはイギリスに制海権を奪われ、国力が衰退していきます。
この戦争の原因は一言で言えば、イギリスのオランダへの嫉妬だったのです。

太平洋戦争だって、いろいろな要因はあるにしても、フィリピンまで進出したアメリカと、台湾まで進出した日本との地政学的な覇権争い。
九州と台湾との距離よりも、台湾とフィリピンとの距離の方が近いのです。
日本がこれ以上膨張しないように、アメリカは日本を仮想敵国とした「オレンジ計画」を策定し、着々と戦争の準備をしていったわけです。
ちなみに当時のアメリカの仮想敵国は日本だけでなく、イギリスは「レッド計画」、ドイツは「ブラック計画」、メキシコは「グリーン計画」として、それぞれ戦略が練られていたようです。
オレンジ計画自体も、当時急速に力をつけてきた日本への、アメリカの嫉妬だと言えなくもありません。

前回バブル崩壊で国力が衰退の方向へ向かうかと思われた日本ですが、もがき苦しみながら不良資産という膿を出し切る努力をしました。
企業が筋肉質となり、体力もついてきました。
一面、サラリーマンの平均年収が、ここ10年間下がりっぱなしという現象も出ています。
今回の世界金融危機も、日本の金融機関は比較的被害が少なく、逆に野村証券がリーマンブラザーズを飲み込むなどという動きすらあります。
バブル崩壊後、外資が日本の金融機関を併合していったのと反対の現象です。

株価がどうなるかは誰にも分かりません。
もし1929年の大恐慌と同じということであれば、株価は上がったり下がったりを繰り返しながら、3年かけて元の価格の10%にまで下落しています。
9割下がったのです!
こんなことが現実に起こるのだろうかと思うわけですが、前回日本のバブル崩壊では商業地は実際9割値下がりしています(住宅地は5割)。

金融危機前の世界的な好景気では、イギリスは長期間GDPを続伸させてきました。
ニューヨークと並び、ロンドンも中東の資金を取り組むなどの機能を果たし、好景気に沸いていました。
イギリスの住宅バブルも相当のところにまで行っていたように思います。
「経済のウィンブルドン化」で、例えば証券会社などはイギリスの会社は一社も残っていないのに(すべて外資系)、ロンドンという地域は大いに繁栄していたわけです。
ところが経済が逆の動きをするようになると、途端にガタガタになってしまいました。
イギリス・シティでの超高層ビルの計画も取りやめになったそうです。
金融に依存しすぎ、それ以外の産業の足腰はそんなに強くない。
イギリスだけでなく、当面ヨーロッパの経済は相当苦しむのではないでしょうか。

たぶん今後、世界のおカネが日本に流れてくるようになると思います。
客観的に見て日本が一番安定していると思うのです。
製造業の足腰も強いし、1500兆円の個人金融資産もあるし、民度も高いし、カントリーリスクも少ない。
これからの世界経済の動きに目が離せません。