『メタル・ウォーズ』(谷口正次・東洋経済新報社・1,700円)

著者は鉱物資源の専門家。
ただし大学の先生などではなく、大手セメント会社の専務も勤めた実務家なので、話が適格で面白いのです。
本書を読むといかに中国が世界中の資源を買いあさっているかがよく分かりました。
その資源を効率よく使えばいいのですが、非効率な技術と制度で大きなムダが発生。
また環境問題などは、ほとんど考慮に入れていないので、経済は発展しても人が住むことが出来ない国土になりつつあります。

石油も含めて天然素材が天井知らずに値上がりしているのは、中国などの需要増と世界的な投機資金の流入の両方の要因があります。
実需的にも投機的にも価格上昇の方向へ向かっているわけです。
投機だけならまだしも、実需が値上げ要因になっているため、当面は下がる気配はないのではないかと思われます。
石油だって1バレル150ドルになる可能性があります。

いま日本は人口が減っているのですが、原油・素材高に対抗するには、人口が少ないほうが有利です。
また徹底的な省エネ技術の開発が国益に大きくプラスになります。
石油を売ってもらえなくて、太平洋戦争に突入したぐらいですから、原油や素材の対応策はかなり優先順位の高い政策になります。
資源大国のオーストラリアでは親中国政府が誕生し、今まで日本が購入していた素材が中国への輸出に変更されるケースも出てきているようです。