資源大国ロシア

ロシアは資源に恵まれた国です。
共産主義国家の時点でも、経済力は低かったものの、豊かな資源を衛星国に供給し、東欧諸国をつなぎとめていました。
原油価格が1バレル100ドルを超え、かつての5倍ぐらいに値上がりしたわけですから、一挙に大金持ち国です。
プーチン大統領が石油や天然ガスを戦略的な武器に使い出しました。
豊富な石油資金をもとに、かつての大国路線の復活です。

ロシアは武器や航空機などには優れた技術力を持ちますが、民生品に関しては国際競争力はほとんどありません。
輸出力から言えば、同じ共産国であった中国にも大きな差をつけられています。
資源や武器以外に輸出するものがあまりないのが、ロシア経済の現状ではないかと思います。

ロシアは「脱ロシア」を図るウクライナに嫌がらせをするために、ウクライナへの天然ガスの供給を大幅に減らしました。
具体的にはパイプラインでの供給を減らしたわけですが、そのパイプラインは中欧や西欧にまで伸びているわけです。
ウクライナとしては、自国への分は当然途中で抜き取ります。
従ってフランスやイタリアなどへ回される分が減ることになり、たぶん大パニックに陥ったのではないかと思います。

レーガン大統領がソ連を敵視する政策を行なおうとした際、西ヨーロッパの国々に資源をソ連に依存することは危険だと散々忠告しました。
しかし経済行為においてはソ連は信頼に値すると、各国は聞く耳を持ちませんでした。
その時の判断は正しかったのかもしれませんが、ここにきてロシアは安定供給国としては信頼できなくなりました。
日本がサハリンで開発していたプロジェクトも、脅し取るような形で権益の大半を取得してしまいました。
目先の利得でもって国際的な信用を失ってしまうのは、長い目で見てロシアの国益を大きく損なうことになりそうです。

仮に原油価格が大幅に下がり、需給の関係が崩れた場合、一度痛い目にあった国はロシアからはもう買わないでしょう。
カントリーリスクが高すぎて、世界からの投資も敬遠されます。
その時までに国際競争力のある産業が育っているとも思えません。
G7だったのがロシアが加わりG8になりました。
しかし他の国々と比べるとロシアは異質すぎて、サミットにはちょっと馴染まないような気がします。