スペース・コスト退治

ある事務機器メーカーのオフィスの見学に行ってきました。
立派なビルの上階にあり、景色もよく、誰でもこんなところで働きたいと思うようなところでした。

社員はIDカードを首から下げ、それをかざさないとオフィスの中には入れないようになっていました。
大勢の社員がいる会社では、セキュリティのため当然かもしれません。
またビル全体が禁煙。
タバコを吸いたい人は、ビルの外で吸うことになります。
最近は知的なグループや一流の人たちが集まる会合では、タバコを吸う人を見かけなくなりました。

プレゼンテーション用の部屋や商談用の会議室などが、エントランスの一角にたくさん設けられていました。
じっくりと顧客と話すには、やはり個室が必要だと感じました。

この会社が以前に別の場所から、このオフィスに引っ越した時は、書類を半分にすることをトップダウンで厳命したそうです。
トラック数十台分のすさまじい量の書類を捨てて移動。
今でも「1年を経過した書類は処分」とのルールだそうです。
書類のうち5割は捨てる、3割はキャビネットでの保存、2割は机での活用とのイメージとのこと。

オフィス全体はきれいなのですが、ロッカーがところどころ薄汚れていたり、段ボール類置き場がビシッとしていなかったりと、掃除道五段の私としては、気になって仕方がありませんでした。
ちなみにロッカーは誰が掃除をするのかを聞いたところ、特に誰もしていないとのこと。
一流会社でもその程度なんだと、変なところで自信を持ちました。

例えばコピー機を例に取ると、購入代金(リース料金)や消耗品費やメンテナンス料などは「目に見える」わけですが、目に見えない様々な費用もあることを教えてもらいました。
「待ち時間」や「不要な出力」や「移動コスト」や「運用教育の手間」などです。
トヨタでは、目に見えないコストの「見える化」を推進していますが、これは本当に大切なことだと思いました。

文章でも「本来不要なのに作成」や「探す手間」や「不要書類によるデッド・スペース」や「破棄の手間」や「外部へのデータ漏れリスク」など、すべて目に見えないコストなのです。
整理整頓はこういった目に見えないコストを防ぐ役割をしていることに気がつきました。
また清潔清掃は、目に見えないコスト発生以前の、心構え自体を正す効果があるわけです。

売上を10万円上げようと思えば大変です。
しかしコストを10万円下げるのは、比較的簡単です。
簡単な方をキッチリやっていく方が、よっぽど楽です。
守りをガッチリ固めエラーを防ぐ方が、ホームランを狙うより、ずっと現実的なのと同じことです。

今日は「スペース・コスト」という概念も学びました。
スペース・コストは、実際に目に見えてキャッシュが出て行くわけではないので、なかなか気がつきません。
またスペース・コストのカットはトップダウンからの強制でないと、絶対に達成できません。
整理・整頓・清掃は、もとより当社の得意とするところ。
スペース・コスト削減に意識を集中させて、年内までに一応の成果を上げてみようと思います。