一点集中

事業経営で、いかに事業を絞っていくかが、大きな分岐点となることがあります。
キャノンは早い段階でパソコン事業から撤退。
これがなければ今ほどの業績は上げていないはずです。
ノキアフィンランドの携帯電話の会社ですが、深刻な経営危機に陥った後、総合電機メーカーから携帯電話メーカーに特化し、成功(しかも大成功)しました。
携帯に特化する過程では、テレビやパソコンから撤退しています。
今なら例えば三洋電機が何か一つの事業に集中するような感じでしょうか。

パーク24はコインパーキング一本で年間70億円もの利益を上げています。
これがもし他の事業も平行して行っているとしたなら、こんなには利益は上がらないようにも思います。
一点集中の凄さ。
大企業でも一点集中が極めて有効なわけですから、(超優秀な)家内企業を目指している当社などは、一事業に集中すべきかもしれません。

松井証券は営業マンによる営業を一切廃止しました。
それに変わるものとしてコールセンターを作る予定だったのですが、インターネットの普及のスピードの方が早く、結局コールセンターはやめ、インターネットを活用した証券取引を行うことになったわけです。
これなどは事業の「選択と集中」ではないのですが、営業手段の選択と集中であるわけです。

中小・零細企業などは、そうでなくても経営資源や人材に乏しいわけですから、それをいくつもの事業に分散させることは愚かでもあります。
コインパーキングという新事業を見出した今、少なくともトップはそこに相当数のエネルギーを集中させていくべきだと考えています。
逆にそれに関係しないことに費やす時間は出来るだけカットしないと、いくら時間があっても足りません。

新事業が軌道に乗るまでは、会社の固定経費を出来るだけ低く抑え、収入が少なくても会社を運営できるようにしたいものです。
実際、損益分岐点が低いと経営はひじょうに楽です。
経費の中でも一番大きなものは、やはり人件費。
人件費をケチるつもりはないのですが、仮にスタッフが辞めても、新しい人を採用せずに、その分アウトソーシングか、あるいはその人数で出来るまで、営業規模自体を小さくすることも選択肢の中に入れたいと考えています。