虚栄の「有名」は仕事の妨げ

佐藤優(すぐる)さんという外交官が、精力的に本を出しています。
同志社の神学部を出て、外務省に入って以来、ロシアの専門家。
鈴木宗男衆議院議員とともに“国策捜査”によって逮捕。
相当厳しい試練をかいくぐってきたので、もう何も「怖いものなし」という感があり、時間がたつにつれ、佐藤優さんの主張がだんだんと世の中に浸透しつつある雰囲気がします。
外務省には、相当に煙たい存在と感じている人も少なくないはずです。

佐藤優さんはテレビには絶対出ません。
確かにテレビで顔を売っても、選挙にでも出るつもりでもないならば、あまりメリットはないような気もします。
むしろ世間で有名になったなら、有名税のようなデメリットの方が多いようにも思います。

テレビで顔が売れても、ろくなことはありません。
自己顕示欲を満足させるだけで、逆風が吹いたら、いつ生贄(いけにえ)にされるか分かったものではありません。
きちんと実績を積む仕事をしていける環境を確立したならば、有名にはならない方がいい仕事が出来そうです。
長い道のりを歩いていかなければいけないのに、鉦(かね)や太鼓をたたいていたのでは、人が集まってきて前へは進めません。
静かに“ひたすら”目的に向かって歩いていくことが肝要です。

目立つと風圧も強いのです。
「出る釘は打たれる」当たり前のことです。
智恵が足らないのです。
マスコミに登場して、うれしくて仕方がないぐらいはまだ“かわいい”のですが、それを自慢しだすとちょっと具合が悪くなります。
圧倒的な仕事量をこなすためには、道草を食っている暇はないのです。

鍵山秀三郎先生のように徳を積んでいくと、虚栄を張る必要がなくなります。
徳を慕って、心の豊かな人ばかりが集まってくるわけです。
無理に有名になる必要はなく、時が来れば人が放っておいてくれなくなります。
そうすれば本物。
同じ有名でも、本物と偽者とでは天地の差なのです。