2006-09-23から1日間の記事一覧

この硬い内容を一見相聞歌(恋の歌)風に歌ってみせたところに、額田王の技量がみてとれるのです。 また大海人皇子は自分を国魂の神に擬して、紫の服を着た女性たちの美しさを返歌として歌いました。 恋の歌ではなく、神事に関する歌。 でも恋の歌だと思い込…

実は「野守」は番人のことを指すのではなく、「国魂の神」のことを指しているのです。 また「袖振る」とは、魂を呼ぶ仕草のこと。 従ってこの歌の真の意味は「朝の光さす聖なる野で、国魂の神は見たのでしょうか。あなたが招魂受霊式で袖を振るお姿を」とな…

完全に恋の歌だと理解されてきたのですが、いろいろと調べていくうちに、どうもそうではないことが分かってきました。 まず第一にこれらの歌は、万葉集の相聞歌(恋歌)の中に分類されておらず、公式行事などの歌を集めた中に分類されているのです。 またこ…

「紫草(むらさき)の にほえる妹(いも)を 憎くあらば 人妻ゆえに われ恋ひめやも」

これは元の夫である大海人皇子の、額田王の歌に対する返歌です。 「むらさき匂う美しいあなたが憎いのであれば、どうして人妻なのに恋をすることがあるでしょうか」との意味。

「あかねさす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る」

「あかねさす」は「紫」にかかる枕詞です。 意味は「紫の草を栽培している(一般の人が立ち入ることができない)場所で、あちらこちらと行き来され、あなたが袖をお振りになるのを、番人が見るではありませんか」。

あかねさす紫

額田王(ぬかたのおおきみ)は最初、大海人皇子(おおあまのみこ・後の天武天皇)と結婚し、娘を産んでいます。 しかし後に大海人皇子の兄である天智天皇と再婚。 ある時、元の夫である大海人皇子と出会い、万葉集では有名な歌を作りました。