ある不動産実務家のお話より

不動産実務家のお話の続きです。

不動産会社として建売住宅を年200棟販売していたのですが、次第に買取り再販業に進出。
当初は競売での仕入れが中心で、社員の誰でもが購入し、リフォームして販売できるシステムを作り、全国展開へ。
支店を増やすごとに利益が上がり、最盛期は48億円の利益が出たそうです。
まさに絶好調。

しかしながら「おカネを持つと魔物がつく」ようで「行け行けドンドン」の結果、在庫の山が出来ました。
1年以上売れ残っている在庫を10%以内に抑えようとしたのですが、大量にたまっていくわけです。
早く処分したいけれど、やはり赤字だと面白くない。
しかしながら売れなければどうしようもないわけです。
最初は「トントンで売りたい」との気持ちが強いのですが「いくらでもいいから売ってしまえ」になるまでそんなに時間はかかりません。
「それなら最初から安く売ればよかった」になるわけです。
最後には「お客さんがついた値段が相場」と割り切って売却していったそうです。

業績が絶好調の時は銀行がいくらでも貸してくれ、ネット8%以上の収益物件を地方で買いまくったとのこと。
全国で150億円ほど買い、収益は上がるのですが、短期で借りているので返さないといけません。
金利分ぐらいは収益で賄(まかな)えるが、元本は返済できないのです。
最近P社が民事再生になったのも、D社が上場廃止になったのも、すべて在庫が原因。
売れない在庫を抱え、借入れだけが残る状態です。
「買って売って、買って売って」を繰り返し、結局在庫が残るというパターン。