不動産経営を考える その2

不動産業界では、人によって営業能力に物凄い差があります。
一人のスーパースターが店の売り上げの大半を上げるケースすらありますが、経営的には不健全です。
その人が独立などで退社した場合、一挙に売上がガタガタになるからです。
またあまり成績の上がらない人たちばかりが残ってしまっても、会社はけっして良くなりません。

いずれにせよ、営業マンに頼っていては、いい経営は出来ないということなのです。
これから求められる営業は口八丁手八丁ではなく、コンスタントに物件を受託する能力と性格。
また受託した物件を調査し、写真を撮ってインターネットに掲載する地道な作業ができる人材。
「仕事は競争ではなく協力」あるいは「仕事を通して成長する」といった自分の思いに近い職場にしていきたいとの願いもあります。

不動産業の基本は、やはりインカムゲインだと思うのです。
キャピタルゲイン狙いだと、どこかで歪みが出てくることが多いようです。
その歪みは不景気などの外部環境の悪さであったり、自社内の資金的アンバランスであったりします。
例えばマンションデベロッパーなどは典型的なキャピタルゲイン業種。
長い間観察していると、ナンバーワンの会社でもいつの間にか具合が悪くなり破綻しているのです。
マンションデベロッパーで破綻しないのは、財閥系の会社だけと言っても、過言ではないのではないでしょうか。
マンションデベロッパーというのは、構造的な欠陥を持ったビジネスモデルではないかという気すらするのです。

マンションデベロッパーは、不動産が上昇気流の時には、事業を派手に拡大するのですが、調子に乗って土地を高い価格で仕入れ出す。
やがて相場が崩れ、高く仕入れた土地が足かせになり、処分が二進も三進もいかなる。
「土地を仕入れる」というのは、B/Sで言えば、左側に「土地」が来て、右側に「借入れ」が来るということでもあります。
相場が崩れると、資産(左側)の「土地」の価値は激減するのに、B/S右側の「借入れ」はそのまま。
バランスシートではなく、まさにアンバランスシートとなるのです。
この時のマンションデベロッパーの「借入れ」は、銀行にとっては「不良貸付」。
この不良資産の処理でテンヤワンヤとなるのです。
「いつか来た道」でもあるのです。