経営方針を考える その5

長い間不動産業に従事していて感じるのは、インカムゲインは「会社が長生き」できるけれど、キャピタルゲインはリスクが大きいということです。
どういうことかと言うと、こつこつと時間をかけてインカムゲインを増やす努力を続けると、いつの間にか収益を生み出す資産が増え、経営が安定するということなのであります。

一方、キャピタルゲイン狙いばかりやっていると、どこかで墓穴を掘ってしまう可能性が高いのです。
買取り転売事業で、例え10勝1敗であっても、その1敗で会社がひっくり返ってしまうことだってあるのです。
バクチで勝ち続けるのが難しいのと同じです。

マンションデベロッパー事業は、土地を仕入れ、建物という付加価値をつけて販売するわけですが、基本的にはキャピタルゲイン事業です。
マンションデベロッパーというビジネスモデル自体に何か欠陥があるような気がするのです。
それが証拠にデベロッパーNO.1になった会社から倒産しているからです。

マンションデベロッパーは大きな事業で難しそうに見えますが、案外コツをつかめば参入しやすい分野なのかもしれません。
上場企業しているマンションデベロッパーの社員が独立し、自ら上場企業にまで持って行くケースはいくつも見ることが出来ます。

その仕事の要(かなめ)は、土地仕入れのための「情報力」と、土地購入と建物建設のための「資金調達」。
この2つさえキチンとつかんでおれば、あとはすべてアウトソーシングでまかなってしまえると言っても過言ではありません。
力のある営業マンであれば独立したくなるのもムリはありません。

株の世界には「買う・売る・休む」という言葉があるのですが、デベロッパーにも「休む」時期が必要なのかもしれません。
マンション販売が好調な時期は、それぞれのデベロッパーが土地を探し回るので、自然にマンション適地の地価が高くなります。
競争に勝って土地を仕入れるのはいいのですが、実際に建物が建つ頃には市況が悪くなっているケースが少なくないのです。

土地が仕入れにくくなったら、本当は「休む」のがいいのです。
ところが会社が大きくなってしまうと、たくさんの社員を食べさせていかなければならないので「休む」ことが極めて難しいのです。
だから経営危機に陥るということを繰り返しているというわけなのです。