定期借家権

「定期借家権」は2000年3月1日から施行されました。
しかしながら未だに普及しているとは言い難いところがあります。
定期借家権は家賃滞納のリスクを少なくし、また不良借家人を退去させやすく、よい住環境を守る効果があります。

普通借家権の「法定更新」は、昭和16年に戦時立法として成立しました。
兵隊さんが戦っている間に、借家権が消滅し、立ち退かなければならないようになっては困るからです。
いわば銃後の守りのために作られた法律だったのです。
それ以前は諸外国と同じように「普通」に「定期」借家権だったわけです。

定期借家権は、約束した期限で必ず契約が終了します。
法定更新されません。
しかしながら「再契約型」定期借家権は「原則的に」再契約します。
法的には「再契約の予約権を与えている」といった解釈になるようです。
建物を仮に2年後に壊すことを決めている場合は、2年間の「非再契約型」定期借家権になります。
この場合は、期間が2年間に限定されているので、賃料を安くして貸すことが考えられます。

ある管理会社では、今まで15,000件の定期借家権契約を行ったのですが、スムーズに契約が遂行されているとのことです。
個人投資家系のオーナーはよく勉強しているので「定期借家権」にはビビッと反応するのだそうです。
最近は定期借家権をやっているがゆえに、個人投資家からの管理の依頼が増えているのだそうです。
すなわち定期借家権は、管理会社にとっては明確な差別化につながっているとのこと。

定期借家権を使っていると、管理会社にとっては管理受託が増え、またオーナーにとっては家賃滞納の人が減るというメリットがあるわけです。
「定期借家権を使っていると、最初から変な人が入って来にくい雰囲気があるのでは?」という話もあります。
少なくとも、近隣に迷惑をかける困った人に退去してもらいやすいことだけは確かです。
定期借家権は書面による契約が必要ですが、これは別に公正証書でなくてもよく、要は口頭でなければいいということです。