物価の下落

デフレというのは「生産」が「供給」を上回り「モノ」が「カネ」より多いということでもあります。
必然的にモノの値段が下がっていきます。
今56歳の私は35歳まではずっとインフレ、35歳以降はずっとデフレの経験をしています。
昭和の時代はインフレ、平成からはデフレと言い換えてもいいかもしれません。
不動産や株に投機資金が向かい、局部的に値上がりするという現象が起こることもありますが、一般消費財の価格は基本的には下落傾向です。

シティホテルでパーティーなどをする場合、30年前は会費が1万円を下回ることはありませんでしたが、今は一流ホテルでも6,000円ぐらいの会費ですんでしまいます。
2009年度の消費者物価の水準が、17年前の1992年並みに落ち込んでいるのだそうです。
不況ということもありますし、中国などから安い商品が入ってくる影響も大きいと思います。

2009年12月の小売価格は、例えば布団はピーク時(1986年)の4割減、薄型テレビはなんと7割減(比較可能な2005年と対比)。
技術の進歩もあるのでしょうが、同じ商品の価格が7割も下がってしまっては、家電メーカーも販売店も利益を出すのに四苦八苦だと思います。

ほかには歯ブラシが15%減(1983年との比較)、ゴルフのプレー代が3割減(1995年との比較)、また宿泊料は5%減(1997年との比較)です。
タクシー運賃は逆に5%ほど上がっています。
国際商品相場の影響を受けやすい食料とエネルギーを除いた消費者物価は、1999年以降一貫して下落しています。

2008年9月のリーマンショック後、国内では供給能力に対し需要が不足する「需給ギャップ」が35兆円にも達しているとのこと。
35兆円と言えば、国の税収と同じぐらい。
なかなか簡単には解決しないギャップです。
このギャップがある限り、物価は依然として下落していくはずです。
物価が下がるのは、消費者にとってはメリットがありますが、企業にとってはモノを売っても利益が出しにくく、また働く人にとっては給与が増えないということになります。