引き続き「世界金融危機」を考える

世界金融危機のことを研究していると、あまりに数字が大きすぎ、「円」の表示なのか「ドル」なのかがよく分からない時があります。
例えば5,000億円と5,000億ドルとでは、2桁数字が違ってくるわけです。
気をつけて読み、また書いていかねばと思っています。

アメリカは毎年80兆円ぐらいの経常赤字を出しています。
これはGDPの6%ほど。
普通の国だと、とっくの昔にデフォルトに陥っているわけですが、アメリカには世界中から資金が流れ込んできます。
そういった資金が入ってきている間は、何の問題もなく経済が動いているというわけです。
例えて言うならば、ボロ会社がずっと赤字を垂れ流している。
しかしその会社に投資か融資か支援かは分からないけれど、とにかく資金が流れ込んでくる。
資金繰りに詰まらない限り、その会社は倒産しない。
これと同じことだと思うのです。

アメリカは世界からおカネを集めるために高金利を維持しようとするのですが、そうすると国内の産業の重荷になります。
アメリカから製造業がなくなっていった原因はここにもあります。
またアメリカは唯一ドルを印刷できる国。
おカネが足らなければドルを刷ればいいのだから、圧倒的に有利な立場にいます。
アメリカが印刷しすぎたドルが、世界中にカネ余り現象をもたらしたとも言えるのではないでしょうか。

大きな戦争がない時は、基本的にはデフレ。
そしてカネが余ってくるのです。
ソビエトが崩壊し「冷戦」という大戦が終わり、対立に費やすおカネが必要でなくなったことも、カネ余りをもたらしたのだと思います。
また産油国の余った資金や、BRICsの経済発展から生まれた資金も、複雑化した金融システムのもと、世界中に投資(投機)先を求めて蠢(うごめ)いたのではないでしょうか。
日本の個人金融資産1,500兆円も、形を変えて原油や食料の投機に利用されていた可能性もあります。

金融機関の信用創造の力も大きかったと思いますが、これらは一度逆風が吹くと、いっぺんにクラッシュ。
余剰資金があわてて本国に逃げ帰ったり、銀行による貸し渋り貸しはがしが行われたりするのは、その現象の一端と言えるそうです。
各国中央銀行公定歩合を下げています。
今回の金融危機が相当厳しく打撃を与えているイギリスでは、公定歩合を4.5%からなんと1.5%も引き下げ3%にしました。
来年にはたぶん2%にするはずです。
イギリスで中央銀行制度が設立されたのは1694年だそうですが、公定歩合が2%以下になったことは一度もないのだそうです。
もし今回公定歩合が2%に引き下げられるとしたら、いわば300年に一度の未曽有の危機であることがハッキリします。