知的生活人 その7 (経済編)

知的生活を支える大切なものがあります。
それは安定した経済的基盤。
精神的なことも大事なのですが、安心して知的生活に没頭できるおカネのところが、人生後半戦の知的生活には実は最も重要なことでもあります。
若い頃には財産はないけれど、かわりに時間と体力があります。
松下幸之助と新入社員との能力や経験を比べると、大相撲の横綱と中学生ぐらいの差がありますが、一つだけ新入社員が松下幸之助を超えるものがあります。
それは時間。

95歳までバリバリの現役で働くことを決めてからは、少なくとも頭の中では“たっぷり”とした時間を持てることができ、気持ちに余裕が出てきました。
物事を成就させていくには「時間」をも味方にしていかなければいけないと思うのです。
毎日のちょっとした時間のロスが、長い人生では大きな差となります。
「ゆめ、油断するなかれ」なのです。

一心不乱に働く時期がないと、人生で成功するわけには“なかなか”いかないのですが、人生の後半戦は体力の衰えもあり、いつまでも一心不乱とはいきません。
自分の代わりに働いてくれる「何か」が必要なのです。
その「何か」とは利息や収益を生み出してくれるもの。
いわば不労所得とも言えます。

不労所得は、人生の後半戦に必要不可欠なものです。
不労所得などなくても老後をやっていけるというのは、体力の衰えを無視した一種の傲慢さだと思います。
不労所得は若い頃から懸命に働いてこそ生み出されるもの。
サムマネーを生み出す源泉を作っておかないと、不安で寂しい晩年となる恐れがあります。
不労所得が人生にゆとりをもたらしてくれるはずです。

しかしながら若い時から不労所得だけに頼る生き方だと、人生が狂ってきたり、性格が歪(いびつ)になったり、子供がおかしくなったりすることがあります。
不労所得は、本業に懸命に打ち込んだ人のみが得られる特権であるのかもしれません。
要は、額に汗して懸命に働く本業の部分と、証券や不動産が働いてくれる不労所得の部分とのバランスが大切なのでしょう。