将来の収益は、今の我慢代

一時ぐんと円高に向かっていた流れが、ここに来て円安の方向になってきました。
私は「円高は日本の国益」論者ですから、毎日の為替を見て、円高ならば「勝った」気がし、円安ならば「負けた」気がしています。
一人勝ちしていた円が、気がついたら円安になっていたというのでは、昨年の阪神タイガーズと同じになってしまいます。

「日本経済は全治3年」というのはたぶん正しい。
アメリカもそれぐらいでしょうか。
ヨーロッパはもう少し長引く気がします。
新興国はそれよりもっと長いのではないでしょうか。
逆説的ですが、日本の一番の強みは「バブル崩壊」をすでに経験していること。
少なくともバブル崩壊がどういう過程を歩んでいくのかは体験済みで、ひじょうによく分かります。

アメリカの株価が新政権になってからも下落しているのは、市場がオバマ大統領の経済政策に「ノー」と言っているのかもしれません。日本の株価が下がっているのは、次の選挙での自民党の敗北を市場が折り込み済みだからかもしれません。
いずれにせよ、お上(かみ)に頼らずに自分の足でしっかり立っていく姿勢がとても大切だと思うのです。

全治3年ですから、3年間は嵐が通り過ぎるのをじっと我慢して待つ必要があります。
兵糧がなくなったり、体力がなくなったりしないように万全の手を打っておかなければなりません。
ヘラクレスジャスダックに上場している不動産会社の中には、株価が99%下落したものすらあります。
つまりピーク時の1%!
分譲マンション業界では第一人者である長谷工の株価が50円を割って、今日現在34円なのですから、わが不動産業界もどれほど大変か。

街の不動産店のやるべき戦略はただ一つ「人手のかからない累積経営」。
先日、他業種の人とお話していて、この「累積経営」の意味が通じませんでした。
ふだん不動産会社の経営者と話す時は、当たり前のように「累積経営」という言葉を使っているので、ちょっとビックリした次第です。
東京でマンスリーマンションとゲストハウス事業を主体にしている友人からは、需要の減少をほとんど感じないとの報告をもらっています。
ただし地域や物件などの選択には、随分とノウハウが蓄積されていて、後からこの分野に進出しても、なかなかいい結果は出ないはずです。

コインパーキングも累積経営の一つですが、当社のビジネスモデルは「自社所有の自社運営」。
昨年1年間はほとんどコインパーキング適地が見つからなかったのですが、今後もあわてることなく、多少ぼうっとしていたほうがいいのかもしれません。

土地を購入するには経済力はもちろんのこと、気力も必要なのです。
おなかの底から盛り上がるものがあってこそ、初めて買えるものでもあります。
少なくとも、十分な盛り上がりがない場合には、けっして買うことがないようにしたいと思います。
要はいかに買いたい気持ちを抑え、我慢するか。
「将来の収益は今の我慢代」なのかもしれません。