日本語にはない冠詞

ドイツ語の名詞には、それぞれ男性、女性、中性と性があるのです。
そしてそれぞれが主語になったり目的語になったりするごとに、複雑に変化していきます。
また冠詞自体も名詞によって変化。
いわば英語のtheやaが変化するようなもの。
また動詞も主語の人称によって変化し、この辺は慣れるしかないのでしょう。
ドイツ語を母国語としない外国人は、この複雑な変化についていけず、よく間違えるようです。
でもドイツ人は外国人がよく間違えることに慣れていて、全然気にならないそうです。
ところがどうしても気になる間違いがあるとか。
それは名詞に冠詞をつけないこと。
日本語を始めアジアの言葉には冠詞がないので、つい忘れてしまいがちです(英語でもよく忘れますよね)。
名詞に冠詞がついていないと「気持ち悪い」と感じるようで、これは気をつけて欲しいとはツァイトラー先生の弁。
外国語を学ぶ時「かわいい間違い」と「気持ち悪い間違い」があり、「かわいい間違い」は気にせずにどんどん話していくべき。
逆に「気持ち悪い間違い」は決してしてはいけない。
これもまたツァイトラー先生から教えていただいたことなのです。

言葉に冠詞を持たないアジア人にとっては、普通の冠詞と定冠詞の違いが、もう一つ分からないのではないでしょうか。
英語で言えば、a とtheの違い。
aが意味するのは「一般的な」という感覚。
それに対しtheは、その言葉にスポットライトが当たっているという感じ。
欧米系の言葉は、冠詞・定冠詞、単数・複数と、名詞にすごく神経質です。
名詞に何もつけないで裸のまま使うことをすごく嫌がります。
ヨーロッパの言葉には冠詞があり、アジアの言葉には冠詞がない。
ではアラビア語はどうかというと、冠詞はあるようです。
アル・カイダ」の「アル」は定冠詞だそうです。

言葉を学ぶ時、ネイティブのようにしゃべられなくてもいいと思うのです。
少々イントネーションや発音がおかしくても、それはそれで話し手の個性だと思うのです。
「気持ち悪い間違い」さえ避ければ、あとはどんどんコミュニケーションを取っていくべきです。
私は日本語をしゃべっている時は人見知りをするタイプなのですが、英語をしゃべるときは全然人見知りはしなくなります。
言葉によって性格まで代わるというのは、どうやら本当のようです。