2005-09-11から1日間の記事一覧

旅人の 宿りせむ野に 霜降らば 我が子羽(は)ぐくめ 天(あめ)の鶴群(たづむら)

詠み人は「遣唐使の母」となっています。 遠い国で旅するわが子を心配する母親の気持ちが痛いほどわかります。 「鶴の群れよ、野で一夜を過ごすわが子に、霜がかからぬように、どうかその羽で覆(おお)ってやって欲しい」という祈るような気持ち。 ジンとき…

石(いは)走(ばし)る 垂水(たるみ)の上の さわらびの 萌え出(い)づる春に なりにけるかも

志貴皇子(しきのみこ)の句です。 滝の上のワラビに、春の訪れを感じる著者の感性。 待ち遠しかった春の訪れを喜ぶ気持ちが、こちらにまで伝わってきます。 「垂水」というのは滝のこと。 「さわらび」の「さ」は、接頭語で、「芽を出したばかりのワラビ」…

あをによし 奈良の都は 咲く花の にほうがごとく今盛りなり

小野老(おののおゆ)の句です。 「あをによし」というのは、「奈良」にかかる枕詞です。 いにしえの奈良の都から、燃えいずるようなオーラが出ているのが見えるようです。 男盛り、女ざかりという言葉がありますが、さしずめ「都ざかり」とでも言いたくなる…

万葉集から、私のベスト3

万葉集や小倉百人一首の世界は、今までの自分の教養からスコンと抜け落ちていました。 しかし最近『素読のしずく』を暗誦しだし、ずい分身近に感じられるようになって来ました。 万葉集の中で、私の好きなベスト3を挙げてみます。