宗教のお話

七福神というのは「神」がついているので、日本神道の神様の集まりだと思っていたら、実はいろいろな宗教からの混成だったのです。
大黒や毘沙門天や弁天はヒンズー教から。
布袋は仏教。
福禄寿や寿老人は道教
恵比寿は神道なのですが、エビスという言葉自体「外国から漂着した神」という意味を含んでいるのだそうです。

神道一神教ではなく、八百万(やおろず)の神々がおられる宗教ですが、外国の神様であってもあっさり仲間に入れてしまう「ゆるやかさ」があります。
もともと自然や国土の中に神々がおられるというのが神道の考え方ですが、そこに大陸から仏教が伝来しました(一応538年と言われています)。

それを巡って蘇我氏物部氏の争いがあったり、明治維新の後「廃仏毀釈」の動きがあったりしましたが、日本では大きな宗教戦争はありませんでした。
カトリックプロテスタントが争ったドイツの30年戦争などでは、文字通り30年間戦い、人口が半分になってしまった地域も少なくなかったのです。
イスラム教のシーア派スンニ派の争いなども、部外者から見たら何がなんだかよく分かりません。

神道と仏教を融合させる思想に「本地垂迹説(ほんちすいじゃくせつ)」というのがあります。
神道も仏教も根本は同じところから出ている」といった考え方なのですが、今の日本では神道と仏教の両立にはほとんど違和感がありません。
我が家でも神棚と仏壇の両方があります。

歴史を振り返れば、仏教に帰依されている天皇も数多いのです。
天皇神道における最高位の神官でもあります。
そのトップが別の宗教に帰依するわけですから、考えてみればビックリ仰天の出来事のはずなのです。
言ってみれば、カトリックの法王がイスラム教信仰を宣言するようなもの。
もしそんなことがあれば大事件ですよね。

アメリカ大統領は、唯一ケネディを除いてすべてプロテスタントでした。
いま共和党の有力候補のロムニーさんは、プロテスタントでもカトリックでもないモルモン教徒。
モルモン教徒はお酒もお茶も飲まないストイックさと、仕事に打ち込む勤勉さを持っています。
アメリカにおいて、人口的にはマイナーだけど経済力があるという点は、ちょっとユダヤ人に似ています。