人生の成功者

私は不動産業しか知らないのですが、図抜けて頑張ってきた人は、やはりそれなりのものを築いてきているように思います。
会社上場というパターンもあるし、自社の成功例をもとにフランチャイズ組織を作っている人もいます。
あるいは全国的には無名でも、たっぷりとした資産を作り上げた不動産業の友人もいます。
本を出版する人もいますが、やはりそれなりの内容がないと本にはなりません。

逆に「すごいなぁ」と思っていたら、あるとき突然その会社が潰れたりすることもあります。
ほとんどの場合は経営者の驕りが原因で、謙虚さを失うことが、どれほど怖いことかを身に染みて感じます。
上場していたって倒産することはいくらでもあります。
市場は常に変化しているわけで、過去の成功体験にしがみついていたら、時代の変化に対応できないのです。

会社が大きくなると、大きくなった分、方向を変えるのに時間がかかり、かえって危機を招きやすいような気もします。
人件費をはじめ、経費も膨大なので大変です。
経営者の器以上に会社が大きくなると、急にトップの能力が凡庸になったりするケースもあります。
少し意味は違うかもしれませんが、西郷隆盛山本五十六のような人でも、ある時を境に急に能力が低下していることを、渡部昇一先生は指摘されています。

トップの能力が急に低下すると「誤った決断を下す」もしくは「決断できない」状態になるから恐ろしいのです。
豊臣秀吉は長い日本の歴史の中でも、極めて秀逸な人物です。
しかし明らかに「狂った」としか思えない晩年を過ごしています。
田中角栄は戦後の政治家の中では傑出した能力の持ち主ですが、首相の末期あたりからはガタガタでした。
人生の成功者とは、ちょっと言い難いのです。

お金儲けが上手いのと、人間的に尊敬できるのとは違うのですが、ここはちょっと欲張って両方とも求めていきたいと思うのです。
「類は類を呼ぶ」と言いますが、やはり「いい人」や仕事ができる人を選んで付き合っていきたいと思うのです。
年下であっても尊敬できる人はたくさんいます。
「徹底的に働く」と「いい人を選んで付き合う」を行動規範にしていけば、そう間違った人生にはならないように思えるのです。