世界経済を考える

世界経済は「北米」、「EU 」それに「東アジア」の3極を押さえていれば十分だと思います。
もっと言えばアメリカと中国。
逆に言えばこの2つを外すと、世界経済は見えてこないわけです。
今のところBRIKsのロシア、インド、ブラジル経済や、その他の新興国は無視していても大局を見誤ることはないと思います。

ニューヨークはアメリカじゃないというアメリカ人も多いのですが、確かに金融部門のアメリカと、農業や製造やサービス業の一般産業のアメリカとは「違う国」かもしれません。
以前にたまたまユダヤの贖罪の日に、ニューヨークでセミナーに出ていたことがあり、講師の人が「今日はユダヤ人がみんな休みなので、交通渋滞が全くなかった」と言っていたのをよく覚えています。
「ニューヨークはジューヨーク」とよく言われるのですが、確かにユダヤの論理とアメリカの「皆の衆」の論理とは少し違っているようにも思います。

一言でアメリカと言っても、金融国としてのニューヨークと消費国としてのアメリカ国との両面があります。
「ウォールストリート」と「メインストリート」は違うのです。
アメリカの中西部にあるテネシー州の首都ナッシュビルで生活していた日本人から聞いた話ですが「驚くほど人々が親切で善良」なのだそうです。
日本だと田舎は都会よりも劣るという印象がありますが、アメリカでは「偉大な田舎」というのが存在し、いろんな面で都会よりも優れていることが少なくないようです。
「都会よりも田舎が好きだから」といった明確な意思を持って住んでいる人も多いようです。
ニューヨークだけ見ていては、本当のアメリカを見落としてしまう危険性があります。

中国は上海をはじめとする沿岸都市と、内陸部の田舎との差が大きすぎます。
沿岸部の経済力だけ見るとGDPで日本を抜こうかという勢いなのですが、内陸部に目を向けると今なお極端に貧しい暮らしがあるわけです。
従って中国は国際会議などにおいて、都合のいい時は先進国になったり、自分の都合が悪くなると発展途上国になったりして、ちょっとズルイ。
今までの中国は世界への輸出生産国としての存在が大きかったのですが、リーマンショック以降、生産国から消費国へと政策転換した感があります。
今や大消費国としての注目を世界中から浴びています。
中国は2010年末までに57兆円の景気対策を行うと発表し、現在実行中。
それにとどまらず、銀行から企業への融資促進分も含めると、ひょっとすると100兆円規模の財政支出が行われているようなのです。
各企業は資金が余り、それが株や不動産に流れている傾向もあります。
バブルを警戒しなければならないのは、今や中国経済ぐらいではないでしょうか。