1. 『アメリカはなぜ勝てなかったか』(三野正洋・ワック出版部・1,800円)AAA

ずっと前に一度読んだことがあるのですが「目からウロコ」の体験をしました。
それ以来三野正洋さんの本は全部読むようにしています。
ベトナム戦争で、なぜ世界最強国のアメリカが北ベトナムに勝てなかったのかがよく分かります。
また「北ベトナムは善、アメリカは悪」のイメージが世界に定着していたのですが、明らかに北ベトナムには侵略の意思があり、南ベトナムの共産化が目的だったことも本書で述べられています。
アメリカの軍事的、政治的失敗も指摘されており、その中のいくつかを誤らなければベトナム戦争に勝利したはずです。
南ベトナムの反政府勢力は、必ずしも共産主義に賛同していたわけではなく、南ベトナム政府のあまりの腐敗ぶりに憤った愛国者仏教徒たちも多数含まれていました。
テト交戦は軍事上は明らかに北ベトナム側の敗北だったのに、それによりアメリカ国内の世論がすっかり変わってしまいました。
また南ベトナムの反政府勢力をもテト交戦で壊滅させるという、北ベトナム政府のしたたかさな戦略にも舌を巻きます。
しかしながら何よりもベトナム戦争の勝敗を決めたのは、ホーチミンの清廉さと南ベトナム政府の腐臭の差であったと思えるのです。