天狗のあとに罠が待つ

庭造りで世界大会のゴールドメダルを3回取った人の本を読みました。
多分、造園業界では非常に有名な人なのだと思います。
その人は最初は花屋から出発し、花の行商のようなことをしながら、やがてお店を開業。
これがまた大繁盛し、瞬くうちに長粼一の花屋になりました。

うまくいくものだから店舗をいくつも出店し、それらのお店をグルグル回って、的確な指示を出していきました。
指示した手がピタリと当たり、それぞれの店がますます繁盛。
きっと商才に恵まれていたのでしょう。
ところが繁盛すると、段々と遊びだすのです。
高級車に乗り、夜の世界へと足を向けるようになります。

そうすると「お決まりのコース」への転落ということになるのですが、この人の場合その前に、商社と組んで全国展開に向かうというワンステップが入ります。
オフィスも東京に設け、段々とエンドユーザーから離れた場所で企画を練り始めます。
大規模に展開しようとするものだから、次第に借入れも膨らんでいきました。
借入額が8億円になったとき、直感的に「あっ、これはヤバい」と思ったそうです。

そこで東京での事業を畳み、カネになるものはすべて処分して長粼に(逃げ)帰ったとのこと。
それでも4億円の借金が残りました。
借入金が8億の時に気がついたからよかったけれど、もしそれが10億なら完全に破たんしていただろうとも書かれていました。

1人で商売していた時は「どうしたらお客さんを感動させられるだろうか?」ばかりを考えていたのだそうです。
それが大繁盛につながっていったわけですが、店舗数が増えても「今日は夕方から雨が降る。ならば今から値引き大セールをやって」などと自分が指示を出している間は、これまたスゴイ数字を出していました。

それで有頂天にならない方が不思議ですが、やっぱり有頂天になったのです。
この人の本を読んで、何が成功の原因で、何が失敗の原因だったかを、しっかりと勉強させてもらいました。
自分の成功や失敗は客観的に見ることができないのですが、ほかの人の体験は「岡目八目」で“とても”参考になるのです。

またこの人の場合、商品を「花」から「庭」に変え、最終的には世界的な造園コンクールで優勝するところまでいくのだから、やっぱりスゴイ人なのです。