伊勢神宮参拝記 その3

内宮での御垣内の参拝中は、心が透明になります。
神殿に近づき、二礼二拍手一礼をして帰るのですが、二拍手の時「ポ〜ン」、「ポ〜ン」といい音が出ると、実に気持ちいいのであります。
自宅や会社の神棚の前で、1日数回「二礼二拍手一礼」を行っているので、練習は足りているのです。

内宮の今の本殿の隣に、真新しい神殿が姿を現しています。
檜のいい香りが、あたり一面に漂い、参道を歩いていても分かります。
伊勢神宮は日本の神社の中でも最高の格を持っているのですが、神殿は木の素肌をそのまま見せ、色を塗ることもなく、実にシンプルで美しいのです。
神道の真骨頂はシンプルさにあるのではないかということを、その建物を見ても理解できます。
だから人生もシンプルにすべきだと思うのです。

本殿参拝のあとはお神楽へ。
申込用紙に記入するのですが、祈願の内容は「国家安泰」に丸をしました。
黒住教の創設者の黒住宗忠は、伊勢神宮に参拝した時は「神のご繁栄」を祈願したそうです。
いずれにせよ、神道の最高格式を誇る伊勢神宮では「商売繁盛」や「家内安全」のような個人的で“ちっぽけな”お願い事など、その場の雰囲気に圧倒されて、とてもじゃないけれど出来るものではないのです。

お神楽では5万円をお納めしたのですが、我々3人だけのために、12、3人の楽師や巫女さんが出てこられ、舞を見せていただけました。
言葉は適切ではないかもしれませんが「これは安い!」と実に納得なのです。
内宮でのお参りも終わり「おかげ横丁」の赤福に寄り、500円の善哉を注文。
頭にも体にも甘さがやさしく浸透し、お餅がお腹を力づけます。

すべて予定が終わったところで、雨がポツリポツリと降り出しました。
クルマに乗ってホテルに向かう頃は本降りに。
しかし我々は一滴も雨に当たらずに、すべての参拝を完了したのです。
ちょっと大袈裟かもしれませんが、これを神様のご加護と言わずして、いったい何と言えばいいのでしょうか。