「あなた、本当にすばらしい。とても制服がお似合いよ。みんなに言われるでしょう。素敵ねぇ」

セミナーの講演の後立ち寄った帝国ホテルのラウンジで、林文子はウェートレスにこう話しかけた。講演をし、長蛇の列の名刺交換を終えた後、くたくたのはずなのに自然に思いやりの言葉があふれる。
ウェートレスは顔を赤らめ「そんなこと言われたの初めてです」とうれしそう。
まるでスキップするかのようにその場を立ち去った。
隣で見ていても、ウェートレスの女性の今日一日は輝くものになるだろうとはっきり分かる。