国際会計基準の特徴の一つに「経常利益」の項目がないというのがあります。
ふつうは「経常利益」と「特別利益」は別なのですが、国際会計基準ではこれらが一緒になります。
例えばコロナなどでの予想外の損失は、すべて特別損失に入れてしまえばよかったのですが、国際会計基準だとそういった言い訳は通用しないということになります。
つまり経営者の責任の範囲が広がるというわけです。
会計の歴史を振り返ると、鉄道事業の勃興によって、新しい会計概念が生まれた経緯があります。
鉄道事業はあまりにも多額な資金を要するので、初期のころは莫大な赤字が続き、それでは投資家が出資してくれないので「減価償却」の考え方が生まれました。
減価償却が浸透すると、今度は利益とキャッシュの乖離が始まります。
やまりに“ややこしく”なったので、会計専門職が必要になり、この人たちによって監査が行われ、これが現代にまでつながっているというわけです。
蒸気機関車が発明され、いくつもの鉄道会社ができたのですが、それらのすべてがうまくいくとは限らず、中には破綻するところも出てきます。
そういったところを集めて再建する、一種のホールディング企業も現れました。
たくさんの鉄道会社を保有しているけれど、トータルでどれぐらい儲かっているのかを知りたいがゆえに「連結決算」が生まれたそうです。
「連結」なんていかにも鉄道っぽい名称ですが、まさに鉄道事業から生まれていたのですね。