40年ほど前に兜町の風雲児として名を轟かしたNという人がいます。
「投資ジャーナル」という、株式投資を指南するメディアで、全国の個人投資家から莫大な会費を集めていました。
N氏は近江八幡市の出身で、中江藤樹の子孫だという触れ込みだったのですが、真偽のほどは分かりません。
ただ頭は良かったようで、高校生の時の模試で数学が全国で3位だったそうです。
小学生の頃から株を勉強しており、株の見通しについては、その頃から近所で有名だったようです。
あまりに株の方が忙しくて大学に行く機会を失い、そのまま株の世界にドップリとハマり込みました。
次第に頭角を現し、相場のカリスマになるのにそんなに時間はかかりませんでした。
投資家からいくらでもお金が振り込まれてくるので、銀座で毎晩数百万円の散財をしてもどうってことはなかったようです。
政財界のトップクラスの人たちとも人脈ができ、そうなるとますますカリスマ性に磨きがかかります。
が、やがて既存の大手証券会社などから反発が来るようになり、途中は省略しますが、結局「詐欺罪」で逮捕されてしまいます。
「株だいすき少年」がどこでどう道を間違ったのかはわからないのですが、最後は東京の下町のボロアパートの火事(原因は寝たばこ)で亡くなっています。
家族も友人も仕事仲間も去っていき、生活保護を受けていたとのこと。
栄光の時期とのあまりのギャップに声を失ってしまいます。
私が勝手に「反省」すると、やはり奢りがあったことは否めないし、銀座で豪遊している間にタチの悪い人脈をつかんだのかもしれません。
やっぱり「地道に、息長く、一生働く」ぐらいが、ちょうどいいように思えるのですが、いかがでしょうか?