蔵書が与える自信

12年前に地下図書館がある、自宅を建てて「これで一生、本の置き場に困らない」と思って安心していたのですが、段々と本を収納するスペースが狭(せば)まってきました。

このまま何もしないでいると、たぶん今年前半にすべての書棚が本で埋まってしまいそうです。

2度以上繰り返して読む本は滅多になく(1,000冊に1冊ぐらいの割合でしょうか)、ならば捨てていっても支障がないはずです。

が、今のところ、捨てることにはかなり心理的抵抗があります。

仮に半分捨てたとすると、自分のエネルギーが半減しそうな気がするのです。

ある30代の人の本を読んでいたら「自分には1億円のキャッシュがある。それがものすごい自信につながっている」と書いていました。

事業で成功したのか、投資で成功したのかは忘れたのですが、それがちっとも嫌味に聞こえず「なるほど、そうかもしれない」と同感したことを覚えています。

同じように1万冊の蔵書は、1億円の現金を持っているほどの自信を与えてくれるような気がします。

正確に数えたことはないのですが、今の私の蔵書は2万冊ほどではないかと思います。

ならば「2億円分の自信」があるわけです(まったく変な計算ですが)。

本は持っているだけで自信になるし、良書が揃っていると、そのスペースからオーラが出ているのを感じることがあります。

渡部昇一先生は若い頃、師匠の佐藤順太先生の膨大な蔵書を見て「大学者になれなくてもいいから、せめてこんな立派な書庫を持ちたい」と強く思ったそうです。

それが潜在意識にインプットされて、晩年は15万冊の世界一の蔵書として具現化しました。

ちなみに大学者にもなっておられます。

その渡部昇一先生の本を学生時代に読んだ私もまた、そのイメージが30年後に今の個人図書館として開花したというわけです。