「減築」で快適に

お金を儲けるのと、お金を残すのとは、また違う才能のようです。

抜群に仕事がデキて、営業の天才のような創業者が会社を大きくしていくのは、よく見聞きすることですが、大きくしすぎて失敗する例も数多く見てきました。

私の知人でもジェットコースターのような人生を送っている人がいますが、いい意味でも悪い意味でも、とても私には真似のできない生き方です。

その人はギャンブルは一切しないのですが、その理由は「自分の生き方がギャンブルそのものだから」とのことです。

私にとっての「分を知る」生き方の答は「シンプルライフ」。

もうこれしかないと思っています。

事業でも不動産投資でも株式投資でも、知らない事には手を出さず、自分がやっていることの中に、自分自身が分からない「ブラックボックス」を作らないようにしています。

またシンプルライフは、生活でも事業でも「固定費が低い」ことにより成り立ちます。

会社でも借入れがなく、固定費が低いと、まず潰れることがありません。

株で「休むも相場」という名言がありますが、経済環境が激変した場合は「休むも事業」という言葉を適応させてもいいかもしれません(それができるのは固定費が低い場合のみ)。

リーマンショックの時に、ある(一部上場の)製造業の社長が「売るな!作るな!」の号令を発し、見事に危機を乗り越えました。

経費でも税金でもキャッシュアウトを防ぐことができ、むしろ財務面では強くなったそうです。

そんな場合でも、借入れが多く、人件費をはじめ固定費が高いと、やっぱり会社を維持できないのです。

売上を増やそうとすると、広告宣伝費や営業人材費や在庫で、キャッシュが出ていくことが多くなり、財務面が脆弱になります。

逆に売上を減らす方向だと(つまり得意な分野や優良顧客に絞ると)キャッシュに余裕が出てきます。

家で言えば「増築」ではなく「減築」。

減築にして、より効率的で快適な生活を目指すようなものです。