国と国との相性

香港で身柄を拘束されると、そのまま中国本土に連れていかれるという法律をめぐって大変な騒ぎになっていました。

もし私が香港人なら必死になって抵抗していたかもしれないし、ひょっとしたら真剣に海外への移住を考えたかもしれません。

自由と繁栄の中で生きてきた人たちが、それを奪われる危機感たるや想像を絶するものがあると思います。

アヘン戦争という、どう見てもイギリスに正義(もしくは大義)のない戦争で、香港が割譲されたという歴史があります。

しかしながら香港は経済的に、かつて中国大陸を置いてきぼりにするほどの大発展をしました。

私も初めて香港に行った時、日本でも見たことがない摩天楼の群れを見てドキモを抜かれたものでした。

しかし、もしイギリスの統治下でなければ、あれほど発展することもなく、昔の寒村のままであった可能性が強いと思うのです。

 

香港の人たちは、例えば陳美齢さんが「アグネス・チャン」と名乗ったように、それぞれイギリス名(クリスチャン名)を持っており、本名よりもそちらの方を使っていることが少なくありません。

要は、本人の意思で気に入って使っているわけです。

つまり大義のない戦争で領土を取られたけれど、イギリス統治下であったほうが、香港の人たちにとってはずっと幸せだったのではないかという気がするのです。

そうなると何が正義で、何が悪なのかがよく分からなくなります。

日本の歴史を見てみると、中国大陸や朝鮮半島と深く接しようとすると、何か具合が悪くなっていくのです。

会社や個人は自由に交流していけばいいと思うのですが、国と国とのつき合いは距離を取った方がいいように感じます。

何かの約束をしても、すぐに反故(ほご)にされるといったことを繰り返しているからです。

また別の観点から歴史を振り返ると、日本はイギリスと同盟関係にある時は発展し、その関係が破れるとガタガタになっていきました。

イギリスだって、日本と親しい時は勢力が安定しているのですが、離れると途端に「太陽の沈まない国」から離脱しています。

国と国との相性というのもゼッタイあると思うのです。