家具事業

7,8年前に株式投資で、有利子負債がゼロで、
配当利回りが3%以上ある銘柄を探したことがあ
ります。

会社四季報』を最初のページから繰っていって
調べたのですが、四季報は分厚く、なかなかの苦
行だったことを覚えています。

その時にピックアップした銘柄の一つに「大塚家
具」がありました(別に悪口を書くつもりではな
いので、実名を出します)。

配当利回りも高く、無借金どころか、たっぷりと
したキャッシュも保持しており、実際に株を買っ
てみました。

私自身も書斎の書棚を、大塚家具からいくつも購
入したことがあるので、親近感もありました。

ところが4,5年前に、経営者間で親子(父親と娘
の)喧嘩があり、大々的にマスコミにも報道され、
世間を随分賑(にぎ)わしました。

感情論は別として、創業者の父親は「富裕層を取
り込んでの接客販売」の維持、娘さんはその撤廃
といった点で意見の食い違いがあったようです。

私自身はその時はもう株を売却したあとで、客観
的にその騒動を見ることができたのですが、支持
する株主の争奪戦など、激しい骨肉の争いでした。

最終的には娘さんが勝利し、創業者である父親の
方は株を売却し、資金を作って新しい会社を作り
ました。

創業者の父親が超優秀なのは当然のこととですが、
娘さんの方も優秀であるのは間違いがなく、ちょっ
としたボタンの掛け違えが、修復不可の亀裂を生
んでしまったわけです。

その後、大塚家具は予想に反し、業績を大きく後
退させ、3期連続で赤字を計上。

手持ちのキャッシュも残り少なくなり、決算書に
「継続疑義」の注意書きが付き、今は会社の引き
取り先を探している状態のようです。

ところが経営がうまくいっていないのは娘さんの
方だけでなく、父親がこしらえた新会社の方も赤
字が続いていると経済誌に書いてありました。

ということは、販売方法がどうのこうのというこ
とではなく、家具事業自体が急激な斜陽産業に入っ
てしまったと考えた方がいいのかもしれません。

あのニトリだって、家具の売上は横ばいだけど、
その周辺の雑貨が売れているから勢いがあるとの
情報もあります。

つまり市場自体の変化が根本問題であって、なら
ば販売方法のことで、あんなに大喧嘩する必要は
なかったということになります。